6/9 (火) 14:30 私だけの彼には・・・

ビデオドラマの撮影のとき、私は夢のような気分だった。あの沢渡くんが、

「撮影中は、君のことを本当に好きになるから」

と言ってくれたのだ。私のことだけを見てくれる・・・。

もちろん役の上でのことだし、先輩方が私たちの演技に厳しい目を光らせていたから、気は抜けなかった。でも一度でもあんなふうに見つめられてしまったら、好きにならずにはいられない・・・。その腕の中に飛び込んでいったとき、このままカットの声がかからなければいいのに、と本気で思った。

でもそれは一転して悲劇になった。引き出しの中は、私を非難する手紙で埋め尽くされるようになったのだ。

「何があったの?」

沢渡くんは心配そうな顔で私に聞いてきた。・・・役でではない、真剣な瞳で。

「大丈夫、僕が注意するから。・・・僕のせいで、君をひどい目に遭わせてしまってごめん」

そして優しく私の髪を何度も何度も撫でながら、落ち着くのを待ってくれた。・・・私だけの王子さまのように。

「だから、これからは変な誤解を生まないように、お互い気をつけよう。それでもし、まだ何かされるようだったら僕に言って」

全身で昂っていた血が、一気に引いていくのが分かった。・・・私は何を期待していたのか?・・・確かにそう。こんな展開になって、甘い言葉をかけられるなんて、ドラマの中だけ。

私はいたたまれなくなって、彼の腕から逃れた。・・・分かっちゃったかな?私の気持ち。沢渡くんのことが好きで好きでたまらない・・・。

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