6/17 (水) 15:30 問い

不良役でストレスがたまるということは、俺の本性は善人だ・・・。

俺ならもう少し他のところでそのエネルギーを使うだろうな。最近は役に力を注ぐあまりに、部活が終わるとすっかり疲れてしまっている。

「祐輔、大丈夫か?」

部長が声をかけてくれる。

「俺はもう年ですかね」

「何言ってんだよ、もう」

そして笑って、俺の隣に腰掛ける。

「正直、どのくらいまでいけると思う?」

しかし部長はすぐに真面目な顔に戻って言った。そうだ。我が演劇部は最近着実に順位を上げて来ている。部長はその立役者ということになるのだけど、ここに来て全国大会に進めないなんてことになったら、俺自身も困る。今までリードして来てくれた3年たちに、申し訳が立たない。

「全国大会には行く気でいます」

「それは当然だ」

ですよね。

「でも、その全国大会でどこまで進めるかは、俺にも予想がつきません。もちろん目指すは優勝ですけど、そううまくいくかどうか・・・」

「何が足りないと思う?」

・・・いえ、そう聞かれても。今の俺は自分の役を務めるだけで精一杯なんですよ。

「それは美智に聞いてみたほうが・・・」

「だって、清水さんは俺に悪意を持っている。そんな彼女の意見をまともに聞けるか?」

それは聞き捨てなりませんね。

「美智ももちろん、優勝したいと思っていますよ。よい作品に仕上げることは、みんなの共通目標じゃないですか」

「そのはずだけど・・・、俺は間違っていたのか?」

それは何について?

「でも今更後戻りはできない。今ある材料をもとに、最善を尽くすのみだ」

・・・それは、やっぱり沢渡のことを言ってるんですか?

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