7/6 (月) 18:00 上級生

部活は今日までで、明日からは試験前のお休み。沢渡くんが入ってくれることになって、一気に面白くなってきたと思う。・・・部長はわざととっておいたのかな?それとも地区予選の結果に落胆して、奥の手を出してきたのか・・・今となっては分からない。それよりも、沢渡くんが同じ舞台で、しかも王子様役を演じてくれるというのが楽しくて仕方ない。

「それでは、お先に失礼します。お疲れさまでした」

沢渡くんともれなく朝霧くんは、部活が終わるとすぐにそそくさと帰ってしまった。・・・役が決まってから、熱心に役作りをしたり先輩方の意見を求めていたりしたのに、何だか意外。

そう、沢渡くんといえば、今日は先月に受けた全国模試の結果が発表されていた。彼は全国で5位。・・・どんな頭のつくりをしているんだろう?先月はずっと授業中に後ろから彼を見ていたけれど、もう月も変わってしまったのでそれも叶わない。

・・・つくづく、私は沢渡くんのことが好きなのだと思わされてしまう。でもその沢渡くんには好きな人がいる・・・ただ、クリウスの人じゃないのかな?付き合っている様子は見られない。それでも、あの沢渡くんがフラれるなんてことは考えにくい。どうなっているのかな?

何はともあれ、これからしばらくは試験に向けて頑張らなきゃ。ということで友達と別れて歩いていると、不意に誰かから呼び止められた。

「上柳さん」

はい?・・・振り返ると、見慣れない男子が立っていた。・・・ということは1年生じゃないのかな。

「僕は2年の園田と言います。明日の放課後、もし時間の都合がつきそうなら、一緒にお茶しませんか?」

・・・私を誘ってるんですか?・・・でも初めて会った人からいきなりそんなことを言われても。

「あの、正直に言うと、僕も君のことをよく知らないから、一緒に話をしたいと思ったんだよ。別に無理に誘っているわけじゃないし、気軽に考えて。明日からは帰りが早いんだから、少しくらいいいよね?」

いや、あの、その・・・。でもよく見ると、なかなかの美男子だった。髪はナチュラル、顔立ちは細面で、優しい印象、言葉遣いもソフト。右手にカバンを持っているけど、その指には金の指輪。立ち姿も洗練されていて、育ちはよさそう。

「ゴメン、急にこんなことを言っても困るだけだよね。気が向いたら、明日の放課後カフェに来てくれる?待ってるよ」

じゃあね、と言って、園田さんは爽やかに去っていった。・・・どうしよう。

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