7/9 (木) 16:00 沢渡くんだったらいいのに

デートって楽しい。帰りに道に一緒にカフェに行っただけだけど、先輩が家まで送ってくれると言うので、家に「今日はお迎えはいいわ」って電話したときにはとてもドキドキした。・・・今までにも、友達が送ってくれることはあったけど、男の人が送ってくれるなんてね、全然気分が違う。

でも一緒にランチをというのはまだ恥ずかしいので、丁重にお断りしておいた。学年も部活も違う人と一緒に食事をしていたら、明らかに付き合っているとバレてしまう。それにまだ、私たちはお互いを知るために一緒にいるだけで、付き合ってほしいと正式に言われたわけじゃない。そう考えると、先輩のほうは私のことを気に入ってくれたのかな?好意を持っていてくれたことは間違いないけど、それを裏切ってないかな?どうだろう。

放課後、今日も一緒に帰る約束で教室を出ようとすると、・・・沢渡くんが私のことを呼び止めた。

・・・ギクッ。

「どうしたの?」

「ううん、別に・・・」

急に話しかけられたから驚いただけ・・・。

「部長からの伝言なんだけど、少し打ち合わせをしたから、明日の昼食をみんなで一緒にとろうって」

昼食なら全然問題なし。

「分かった」

「じゃ、一緒に行こうね」

・・・じゃ、一緒に行こうね、って!・・・そりゃもちろん、朝霧くんとかもいるとは思うけど、その言葉が発せられただけでドキドキする。

「うん・・・。じゃ、また明日」

「うん。またね」

沢渡くんが、朝霧くんと共に素早く教室を出て行った。・・・やっぱりドキドキの度合いが違いすぎる。

ああ、沢渡くんが私のことを好きだったらいいのに・・・。誰も彼には敵わない・・・。

でもこれ以上に、片想いを自覚させられるのは辛い。

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