デートって楽しい。帰りに道に一緒にカフェに行っただけだけど、先輩が家まで送ってくれると言うので、家に「今日はお迎えはいいわ」って電話したときにはとてもドキドキした。・・・今までにも、友達が送ってくれることはあったけど、男の人が送ってくれるなんてね、全然気分が違う。
でも一緒にランチをというのはまだ恥ずかしいので、丁重にお断りしておいた。学年も部活も違う人と一緒に食事をしていたら、明らかに付き合っているとバレてしまう。それにまだ、私たちはお互いを知るために一緒にいるだけで、付き合ってほしいと正式に言われたわけじゃない。そう考えると、先輩のほうは私のことを気に入ってくれたのかな?好意を持っていてくれたことは間違いないけど、それを裏切ってないかな?どうだろう。
放課後、今日も一緒に帰る約束で教室を出ようとすると、・・・沢渡くんが私のことを呼び止めた。
・・・ギクッ。
「どうしたの?」
「ううん、別に・・・」
急に話しかけられたから驚いただけ・・・。
「部長からの伝言なんだけど、少し打ち合わせをしたから、明日の昼食をみんなで一緒にとろうって」
昼食なら全然問題なし。
「分かった」
「じゃ、一緒に行こうね」
・・・じゃ、一緒に行こうね、って!・・・そりゃもちろん、朝霧くんとかもいるとは思うけど、その言葉が発せられただけでドキドキする。
「うん・・・。じゃ、また明日」
「うん。またね」
沢渡くんが、朝霧くんと共に素早く教室を出て行った。・・・やっぱりドキドキの度合いが違いすぎる。
ああ、沢渡くんが私のことを好きだったらいいのに・・・。誰も彼には敵わない・・・。
でもこれ以上に、片想いを自覚させられるのは辛い。