今日は終業式。明日から夏休みだけど、全国大会が近づいてきているので、気を緩めることはできない。でも、勉強しなくてもいいから、楽かな?
「朝霧、沢渡はどこに行った?」
・・・お願いだから、僕に聞かないでよ。僕は彼の側近ではないのだから。でも、入学当初はかなりナーバスになっていた彼が、今では個人行動に出ることが多くなっているのだからよかったと思う。これでもう、対人関係に問題があるなどとは、言われずに済むだろう。
それにしても、どこに行ったのだろう?部室に行こうと思うのに、荷物はあれど本人はいない・・・。
「朝霧くん、沢渡くんは?」
・・・また?今度は村野さんが廊下から呼んでいた。
「さあね。急にいなくなってて」
「・・・沢渡くんも最近忙しいみたいだからね」
・・・それは、宮殿で使う言葉だと思っていた。
「でもそのうち部室には来ると思うし、先に行こうよ。遅れると僕たちまで睨まれる」
「そうだけど・・・いいの?」
「どうして?」
「朝霧くんと沢渡くんはセットでいないと、変な感じがする・・・」
・・・それはどういう。
「ううん、深い意味はないよ。見た目の問題」
それって考えものだね・・・。と思っていたら、沢渡が足早に帰ってきた。
「ゴメン、待たせて」
そして僕たちはそれぞれの荷物を手に、廊下の村野さんの元へ戻って行く。
「じゃあ、行こう・・・ん?」
沢渡が、村野さんと僕とを交互に見比べる。
「何?どうかした?」
別にどうもしないけど・・・。
「やっぱりこうでなきゃね」
・・・だからもう、村野さん!