7/29 (水) 22:00 電話

でも学校で会うとまた話がややこしくなるかもしれないと思って、電話をかけることにした。

「ゴメン、今いいかな?」

“あ・・・うん。ちょっと待って。部屋に戻るから”

リビングにいたのか、後ろの方からTVの音が聞こえていたが、それが遠ざかり、代わりに彼女の足音がする。

“もういいわよ。どうしたの?”

今日も部活の休憩時間に目が合ってしまい、気まずい沈黙が流れた。

「ねえ、僕たちはもうお互いを意識する必要はないんじゃないかな?できれば仲のいい友達に戻りたいと思っているんだけど、どう?」

うん・・・。彼女の小さな声の後、ドアが開く音と、閉まる音がした。部屋に着いたみたいだ。

“どうって言われても・・・。今は随分状況が変わってしまったから、難しいんじゃない?”

「上柳さんは、このままでいいと思ってる?」

“・・・私たちは、これ以上関わり合わないほうがいいのよ。私には園田先輩がいるし”

そうだよね。でもだから逆に・・・と思うのは僕だけだったのか。彼女の声の様子からすると、まだ僕のことを好きなのかもしれない、と思った。

「分かった。僕が気まずいと感じているのは自業自得なんだね。・・・ゴメン、変な電話をかけて、また困らせてしまって」

自然に納まるのを待ったほうがよかった。どうやらまた蒸し返してしまったみたいだから・・・。

“私が、沢渡くんのことを嫌いになるわけないよ。・・・でも、今はそっとしておいて”

「うん、ゴメン。僕のせいでいろいろ大変なことになって」

“別に謝らなくてもいいよ。沢渡くんは素敵だから”

「ありがとう・・・」

“本番、うまくいくといいね”

「絶対成功させよう」

“うん、じゃ、おやすみ”

おやすみ・・・。つくづく僕は、女心が分からない男だ。余計に気まずくなっていないことを願うけど・・・、どうだろう。

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