いざ夏休みとなったら、意外とつまらない。園田先輩は家族と外国に旅行に出かけてしまい、私はお留守番。部活もお休み、かと言って宿題をする気にはならない。
「退屈・・・」
昼間は暑いから外には出たくない、そして部屋でゴロゴロしているといつの間にか日が暮れていて、寝る時間が来てしまう。何やってるんだろうな・・・私って。
そこへ電話が鳴った。・・・先輩だ!
「もしもし」
“やあ、元気かい?そっちはどう?”
「毎日退屈です。こう暑いと何もする気が起こりません」
“それは気の毒だね。僕たちは今湖水地方に移動しているところなんだけど、半袖だと肌寒いくらいだよ。夏場は、ホーンスタッドを脱出するに限るね”
・・・そうは言われても、先輩のようにずっと外国に行くわけには。一応この週末は旅行することになっているけれど、たかだか3泊4日だもん。
一応近況報告は毎日のように届いていて、景色などの写真も添付してくれる。でも私は、全国大会を見に来てもらいたかった。今までで最高の気分を味わえた、そしてそれを先輩と分かち合いたかった。
「・・・先輩、会いたいです」
“う~ん、そう言われてもね。君がこっちに来てくれると、家族にも紹介できるんだけどね”
家族に紹介だなんて畏れ多い。・・・でも待って、帰るとは言ってくれないのね。しかもこっちには来ないだろうっていう前提で言ってない?・・・先輩の私に対する気持ちって、所詮そんなものなのね。
“でも僕たちは同じ空の下にいるのだから、寂しがらないで。2学期が始まったら、毎日会えるんだから”
・・・聞きたいのはそんな言葉じゃなくて、
「先輩は、私に会えなくて寂しい?」
“もちろんだよ。じゃなかったら、電話したりしないよ。・・・そっちは夜だよね、ゆっくりおやすみ”
「おやすみなさい」
これで今日は眠れそう。・・・だけど先輩、口先だけじゃないですよね。