「私のことを忘れていたわけじゃないでしょうね」
会うなり言われたけれど、それは僕のほうのセリフだ。Blue Ribbon Dayのプレゼントは、どうなったんですか?でも、ここで催促したら男が廃る!?
「これは、有紗さんへのお土産です。出張のとき、街を歩いていたら見つけたんです」
気に入ってくれるでしょうか?・・・そんなに高価なものや人目につきやすいものは買えないけれど、折角僕の部屋に来てくれる彼女に、少しでも快適に過ごしてほしいと思って。
「・・・希らしいわね、ありがとう」
有紗さんは笑って箱からカップを取り出した。・・・このくらいのことしかできない。とにかく僕たちの関係は誰にも知られてはいけないのだ。だから、僕たち専用のコーヒーカップのセットを持つくらいが精一杯だと思った。
「じゃあ、私からはこれ」
よかった。有紗さんが取り出した箱には、青いリボンがかかっていた。
「気を揉んだ?」
ええ、とても。
「何だか、希はとても大変みたいなので・・・」
何だろう?と思ってその小さな箱を開けてみると、サファイアのリング!
「これは!」
昨日部長から言われてしどろもどろになったところなのに・・・、矛盾してませんか?
「ビックリした?・・・でもさすがの私も、これをはめて、なんて言わないわ。堂々とつけられるようになるまで、これを使って」
更にもう一つ渡されたのが、ネックチェーン。なるほど、首からかけておくのだったら問題ない。
「ありがとうございます」
「だって、ブルーはあなたのカラーでしょ?これを逃さない手はないわ」
「でも・・・、僕の指のサイズはどうして?」
「そんなの、希が寝ている間に測ったに決まっているじゃない。細長くてしなやかな指・・・そのままでも綺麗だけど、もっと飾ってあげたいと思って」
クールなデザインのリング・・・リングをもらったのは初めてだ。僕に似合うかな?・・・有紗さんと一緒にいるときははめることにしよう。