先輩も今日は部活があるそうだけど、帰りが何時になるか分からないそうなので、部活前に待ち合わせをした。
「先輩」
校舎の陰で、人目を忍ぶように会う私たち。
「似合ってるよ、よかった」
ピアスが目立つように、髪を上げてきた。・・・みんなに見てもらいたい。
「今日は一緒には帰れないから、その代わりに・・・」
先輩が私の背中を校舎に押し付けて、キスをしてくる。・・・9月に入ったとはいえ、外はまだまだ暑い。おまけに体温を感じて興奮しちゃったものだから、のぼせてしまいそうになる。
「まゆ?」
「・・・大丈夫・・・です」
「かわいい」
そして改めて私を軽く抱きしめて、頬にキスをしてくる。
「それじゃ、また明後日に」
「はい。楽しみにしています」
じゃあね、と先輩がグランド脇の部室のほうへ歩いていくのを見送ってから校舎に入る。暑かった。ふと気がつくと、汗をかいている。いけない、メイクを直さないと・・・。
手近なお手洗いに入り鏡で自分の顔を見てみると、まだ夢から覚めていない感じの表情だった。このままではいけない。みんな真剣に部活に取り組んでいるのに、私だけこんなだなんて。でも先輩はかわいいって言ってくれた。だから、役にも活かせるかな?
男の人には、どうしたら喜んでもらえるのかな?兼古先輩に誘惑される役といっても、ある程度は魅力がないと、先輩のほうも役に入りにくいと思う。まずはとりあえず綺麗にしていないと。そして男心をリサーチしなきゃいけないってことかな?
でも兼古先輩には恐れ多くて聞き辛い。じゃあ、清水先輩かな?