10/19 (月) 23:30 Starting Over

僕はダメな男なのかな・・・。

僕は僕なりに、沙紀ちゃんのことを好きだったと思う。でもうまくいかなかった。どうしたらいいのか全く分からなかったのだ。

・・・そして落ち込んでいたら、沢渡のほうから僕の部屋に来てくれた。

「世の中うまくはいかないものだよね」

・・・そのセリフを沢渡から聞いても、説得力に欠ける気がするんだけど。

「でも挫折は次のステップにつながる。前進あるのみだよ」

うん、それは分かる。

でも今日、四人で昼食をとったときに思ったのは、本人の前だと意外に大丈夫だということ。今から思えば、僕と一緒にいるときの沙紀ちゃんは不自然だった。彼女らしくない様子でもじもじしていたり、逆にテンションが高すぎたり。なのに、今日はごく普通に戻っていてくれたおかげで、僕としても普通に接することが出来た。

ただ・・・、一人になると、もっと出来ることがあったのではないかと思ってしまう。

「でも僕は、朝霧が朝霧らしくいてくれるのがいい。沙紀ちゃんと顔を合わせるのが辛くないんだったら、これからも四人で一緒に行動できるようにお願いしてもいいかな?」

・・・ああ、それは上柳さんのこと?話は聞いた。友達として出来る限りのことはすると言ったこと。

「でも、お互いに意識しないほうがうまくいくというのは、やっぱり恋じゃないよ。・・・沙紀ちゃんといるときドキドキした?」

「それは・・・したよ。一緒にデートもしたんだから」

「その時、どんな感じだった?」

どんなって・・・、遊園地は楽しかったけど・・・、ドキドキしたけれどそれは、緊張というか、不安のほうが大きかった。

「恋するチャンスはこれからいくらでもあるよ。今は、何が大事?」

「それは・・・ヴァイオリンだね」

「この経験を活かした、味わい深い音色になっていることを期待しているよ」

・・・確かにそうだけど、自分には彼女がいるからって、そんな態度に出られると悔しい。

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