さて、問題の、朝霧と上柳さんのシーン。
上柳:朝霧くん、最近冷たくない?いつも何か考え事をしているみたい。
朝霧:うん・・・、沢渡のことでね。ちょっと厄介なことに巻き込まれたみたいなんだ。
上柳:何かあったの?
朝霧:ある先輩から、よくないことに誘われたみたいなんだけど、どうも断れなかったらしくて凄く苦しんでる。そんな彼のために何もできない自分に嫌気がさすよ。
上柳:それは沢渡くんの意志が弱いってことで、朝霧くんには関係ないんじゃないの?
朝霧:彼が断れないなんて、よほどのことがあるんだよ、きっと。でも詳しいことまでは話してくれない・・・。どうしたらいいかな?
上柳:・・・(考える)・・・分かんない。私には沢渡くんのことってよく分からないから。
朝霧:そうかもしれないけれど、・・・せめて、これ以上僕を落ち込ませないでくる?僕は真剣に悩んでいるんだよ。君だって、悩みがあるときには、そっとしておいてほしいだろ?
上柳:私は誰かに聞いてもらいたい。
朝霧:でしょ?だったら協力して。
上柳:・・・そうだよね、ゴメンね、自分のことばっかり考えたりして。私も朝霧くんに優しくされたいから、今は優しくしてあげたい。・・・私にできることは何かあるかな?
朝霧:・・・だったら、そっとしておいて。
上柳:分かったわ。・・・ゴメンね、邪魔して。嫌われないようにしないとね。(去っていく)
・・・何だか妙に初々しいカップルっぽくて、俺にとっては新鮮に映る。
部活終了後、美智と話をしながら、さりげなく1年達の行動をチェックしていた。
「上柳さんが、今度はウチの部まで壊すんじゃないかと心配になってきたわ」
その通り。彼女は被害者だから、という目で見ていたら、今度は何かをやらかしそうになってきた。沙紀ちゃんも大変だ。朝霧と付き合っていたのはわずかだったにせよ、上柳さんは彼に近づきすぎている。そして沢渡もまた、上柳さんのことを気にしてみたり、沙紀ちゃんのことを気にしてみたりと大変だ。
「早く撮影を終わらせないと、もっと大変なことになるぞ」
「でも、今のところは凄く順調よ。・・・なんてことも言っていられそうにないわね」
ああ、頭が痛い。