今日から僕は、宮殿でカンヅメ生活を送ることを余儀なくされる。しかし閣僚や専門家と一緒に予算案を作れるなんて、これほど光栄なことはない。やっと僕の活躍の場が訪れたのだ。存分に楽しませていただこうと思う。
陛下が僕のことを紹介してくださった、が、年齢の話はなし。そしてまた、僕のことを口外しないようにとの話があった。これで僕は、学生ではなく、一人の社会人として見てもらえる・・・。
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沢渡さんがずっと宮殿にいらっしゃるということで、私には打ち合わせが多数入ってきた。
まずは、二週間の間学校で起こったことについて把握しておかなければならない。・・・それでなくても最近学校ではトラブルが多い。休みの後に気持ちよく復帰していただけるようにしないと。
続いて、沢渡さんのことが世間に漏れたときの対応。今回予算作成に携わるということは、沢渡さんが政官として仕事ができるかを判断する試験も兼ねているそうだ。そこでの働きがよければ、口外無用が言い渡されているにしても、おのずと噂が広まったりするに違いない。・・・なにせ、才色兼備でいらっしゃるから。逆に今回ミスが発生してしまうと、沢渡さんの将来はなくなってしまうかもしれない。その時には作成に携わったことはなかったことにしてもらうようにしなければならない・・・後者の心配はないと思うが。
また、武術の訓練についての話もある。それに関しては私が責任者だ。確かに、相手を攻撃するために武術を使ってはいけないと日頃から指導させていただいているが、あんな痣を二度も作って来ていただくと、作戦変更しなければならなくなる。・・・おもに、技術的なことではなく、精神面での指導だろう。何も黙って殴られなくてもいいはずだ。攻撃の手を止めること、または避けること、はしておかないと、その後舐められることになるのではないかと思う。
沢渡さんは沢渡さんなりに宮殿での生活で社交術を身につけられてはいるが、それがそのまま学校で通用するわけではない。
それから、食事に気をつけていただかなくては。沢渡さんは、忙しくなってくるとあまり召し上がらなくなる。それは睡眠の不足とも関連している。だから一日の終わりには。リラックスしてぐっすり眠っていただくために、マッサージなどをして差し上げようと思う。
沢渡さんが頑張られる分、私も頑張らなくては。