今日は殿下のお部屋を見学させていただく。
殿下のお部屋に伺うときもまた、玄関ホールの中のターボリフト乗り場に出る。しかし、そこからしてかなり結城の部屋とは違う。まずは植物が多く目に付く。・・・どうしても、いただくことが多いとかで、観葉植物やお花がいつも飾られている。そこでスリッパに履き替えて自動ドアを通ると、白を基調としたギャラリーコーナーがあって、いくつかの絵が掛けられている。
そこを通り過ぎると、リビングダイニング。大きく開放的なキッチンがある。なかなか料理をする機会はないようでいらっしゃるけど、仕官に作らせるにせよ、朝食は大体自室で取られるとのこと。
「ああ、沢渡くん。僕も部屋の間取りを考えなければならないのだけど、難しくて手付かずだよ。来週彼女と相談してくるから、その間よろしくね」
殿下は来週の半ばから、1週間ほど旅行に出かけられるので、その間殿下の代理を務めさせていただくことになっている。とはいえ、夕食会が一つと、他にいくつか挨拶の場があるくらいだけど。
「殿下は、どのようにこの部屋をお決めになられたのですか?」
「リクエストしたのは、全体的な色のイメージと、裸足で歩けるようにということくらいだったかな?あとは自然とこんな感じになってしまったね」
殿下のお部屋はフローリングで、床暖房が入っている。・・・そして殿下は、そのお言葉通り大体裸足。リビングには世界各国で集められた民芸品や装飾品が置かれている。そして家具はどれも有名なもの。しかも殿下の場合は、それを作った人とも親交があるから凄い。
次の部屋は書斎。夏場にはベランダに通じる窓を開けて、開放感を味わいながら本を読んでいらっしゃるとのこと。棚には本のほかにたくさんのCDも置かれている。・・・並べられているというよりは、一部平積み。
その隣はベッドルーム。完全に寝るためだけの部屋にしていらっしゃる。辛うじて、ベッド脇に一つサイドテーブルがあるくらい。青い照明とアロマオイルの香りが漂っていて、幻想的な感じ。
そして巨大なクローゼット、というか、衣装部屋という感じの部屋。
トイレは広めで、ここにも植物。・・・・建築雑誌に載っていそうなデザイン。
バスもまた白く、広くて、清潔なイメージ。入り口のところにある棚には、多彩な入浴剤やキャンドルが置かれている。そして窓から山の緑が見えるのがポイント。・・・とはいえ、夜は暗いけど。
全体的には、広いけど物も多い感じ。結城がいつも「ごちゃごちゃしている」と言っているけれど、それはそれで殿下らしくていい。白が基調というのもまた美しいな。