12/31 (木) 19:30 旅の始まり

今日から1週間のオフ。ただ、間もなく議会が始まるので、心からのんびりはしていられないのだけど、休めるときには休んでおかないと。それも国内にいるとついついあれもこれも気になってしまうので、外国に出ることにしている。

いくら仕事を優先させると言っても、たまには僕だって舞とのんびりしたい。それに僕は、いつも彼女と一緒にいてあげられるわけではない。・・・そんな個人的な事情もあるけれど、彼女が仕事を辞める日も近づいてきているので、打ち合わせもしなければ、という公的な事情もある。・・・でもまあ、その話はそのうち。

実は今回は、単純に僕たちの旅行として計画したのではなく、途中で高校時代の友人の結婚式に出席するというイベントもある。それは、僕たちの結婚の参考になると思うのでよく見ておきたい。

運転免許を取らせてもらえないので、やむなく運転は竹内に任せ、僕たちは後部座席での会話を楽しんでいた。

「こんな時にごめんなさい、一つだけ心配事があるのよ」

何?どうしたの?

「年明けに家にいないということは、誰からカードが届いたのか分からないということなのよ。だから、もし私が出していない人から届いたら、どうしようかと思って」

・・・それって、こんな時に言うセリフ?

「別にいいじゃない。外国に行っていたの、ごめんなさい、で」

「でも、仕事関係だったら、失礼に当たらないかと思って」

「・・・だったら、隣に僕の署名を入れておく?・・・別に軽んじて言っているわけではないよ。そういうことを言っているとキリがなくなるから、これ以上気にしてもしょうがないということだよ」

・・・そうだよね、と彼女が、まだ納得いかないけれど、何とか自分を納得させようとするように言った。

「貴くんのほうが大変だよね。・・・会った人って、みんな覚えてる?」

「さすがにみんな、とは行かないけれど、出来るだけ覚えておくようにはしている。困ったときには、竹内や秘書に聞けばいい」

なるほどね・・・、と頷く彼女。

「でも、しばらくすれば、カードがどうなんてこと忘れるよ。日にちだって分からなくなる、きっと・・・」

日常から脱却しに来たんだからね。何も考えないことにしよう。

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