そんなことで仲間が一人増えてしまったわけだけど、何やら以前と様子が違う。確か自由に行動させてもらえないと言っていたはずなのに、今はお付きの人が一人のみ。それに表情もいい。
“何かあった?”
部屋のキッチンで舞がお茶の準備をしてくれている間に、彼に聞いてみる。
“好きな人ができた”
・・・それは一大事だ。更に聞いてみると、隣国で物理学の研究をしている大学教授に惚れてしまったとのこと。
“視察に行ったときに会ったのだけど、最初の印象は最悪だったんだよ。私の研究があなたに分かるの?みたいな態度でね、頭に来たんだけど、気がつくと彼女のことばかり考えているんだ・・・”
おおー、これは本物の恋のようだ。
“それで、彼女が休暇でここに来るという情報を得て、僕もやって来たというわけ。Takaがいてくれると余計に心強いよ”
“それで彼女には会ったのかい?”
・・・それがまだだそうで、僕たちと一緒に行動し、偶然を装って会いたいと言う。
「舞、僕たちは二人でいたいから、モーリスのわがままは聞きたくないよね」
え、いや、その・・・、と彼女が顔を赤らめて言う。だったら余計にここはきっぱり断っておかねば。
「舞さん・・・、別にあなたには迷惑をかけません。休暇を楽しむ仲間は多いほうが、楽しいと思いませんか?」
だから、いつの間に言葉を勉強したんだよ!
「それは君の問題じゃないか。目的があるのなら、それに向かって行動したら?僕たちまで巻き込まないでよ」
“何だって?”
だから~、しらばっくれてる場合?!
“お願いだから、今夜は外してくれないか。いつも寂しい思いをさせている分、一緒にいてあげたいんだ”
・・・気持ちが伝わったのか、モーリスがしゅんとなった。そのうち相手をしてあげるから・・・。
「別に構いませんよ」
舞?
「では、一緒に参りましょう」
・・・どうしてこうなる。