1/7 (木) 23:30 我が姿

明日には帰国しなければならないから、今日が最後。でもこれ以上彼女に近づきたくなかったので、予定を変更してモーリスの国に行くことにした。・・・いきなりのことで舞は緊張していたけれど、国王陛下にも挨拶をさせていただいた。

当のモーリスは、まだ失恋の痛手が大きいようで、部屋にこもりっきりになっているとのことだったが、僕たちは入れてもらえた。実は陛下からも「ウチのバカ息子をお願いします」と頼み込まれたのだった。・・・実際にはおっしゃらなかったが、そんな表情をなさっていた。

“そうか、きっと占いでよくないのが出たのだろうね。だから僕には目もくれなかった”

この様子だと、まだまだ未練が残っているような感じだ。

“いや、分からないんだ、自分の気持ちが。凄く悔しい気持ちと悲しい気持ちと、忘れてしまいたいという気持ちがせめぎあっている。・・・でも一つだけ言えることは、これ以上醜態をさらしたくない。もう彼女には近づかない”

・・・それで悔いは残らないのかい?プライドも大事だけど、そこまで好きだったら、少しでも前進できるような案を考えたほうがいいんじゃないのか?

ここで仕官情報が入って来た。あの男性は弟だということだった。・・・何故に嘘をついたのか、は、やっぱり、モーリスからの誘いを断るためなのだろう。

“分かった、もう諦める。好きでもない女性からは愛されるのに、本当に好きな女性からは愛されない・・・世の中うまく行かないものだ。Takaは失恋したことがあるか?”

・・・それを舞の前で言えと?・・・でも彼女は、たしなみ深く一人離れて座っている。言葉も分からないだろう。今はモーリスを励ましてあげることを考えたほうがいいか。

“何度かあるよ。でも僕はそこから多くのことを学んだんだ。僕はうまく行かなかった原因は自分にあると考えた。だから同じ過ちは繰り返さないでおこうと、自分を磨いたり、女の子の気持ちを研究したりしたよ”

“そうなのか・・・、僕もMaiみたいな彼女がほしいな。Takaより前に会いたかった・・・”

ちょっと待って。何を言っているんだい?

“僕は舞のためなら何だってするよ。モーリスが本気でそんなことを言い出したときには、友情を断ち切るだけの覚悟はある。・・・ただ実際は、彼女の前ではカッコよくありたいと思うけれど、僕自身は、醜い、嫉妬心の塊みたいな男なんだよ”

・・・彼は迷っているようだった。

“後悔だけはしないように”

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