人の恋路に首を突っ込むのはよくないと知りつつも、沢渡の彼女がどんな人なのか、やっぱり気になる・・・。
ということで、昼食の席を狙うことにした。・・・相変わらず朝霧と一緒に昼食をとっているところに、美智ともども邪魔をする。
「二人で来られると不気味です。・・・また何かに巻き込まれそうな気がして」
・・・この間は悪かったって。ちゃんとお礼をしたじゃないか。
「美智が、新作を考えるのに当たっていろいろ聞きたいって言うから」
・・・なんで私のせいなのよ、と明らかに怒りの視線を向けてきたけれど、短い昼休みを無駄にしないためにも、反論はしないことにしたようだ。遠慮なく席に着かせてもらう。
「高校生活の中で、恋愛ってどのくらいの割合を占めていると思う?」
その聞き方ってどうだ?・・・沢渡も目をぱちくりさせている。
「どうですかね?・・・少なくとも先輩方を見ていると楽しそうでいいなと思いますよ。やっぱり恋愛にはとても関心がある時期ですし、受験直前でもない限り、恋愛が占める割合は多くなって当然なんじゃないですか?」
「沢渡くん自身はどう?」
どうって?・・・美智も単刀直入だな。
「僕的には、それほど多くはないかもしれません。でも、それは時間帯にもよるんじゃないですか?学校にいる間は演劇が最優先事項ですよ」
「じゃあ、夜はどうだ?」
「夜っていうか・・・、彼女といるときはもちろん、彼女が一番ですよ」
「お前の彼女は羨ましいな」
「先輩とだってデートしてあげてるじゃないですか。その時には先輩が一番ですよ」
はぐらかすな、お前・・・。
「最近いいことあった?」
・・・言うと珍しく、沢渡の顔がほぐれていくのが分かった。
「どんなときが一番幸せだ?」
「・・・僕のことを頼ってくれて、そして彼女を笑顔にさせてあげられた時ですかね」
「俺もそう思うよ」
・・・とは言っておいたが、ああ、実に気になる。写真とか、持ってないのか?