勉強会での話は朝霧から聞いていた。そして、おそらくそれについての話があるのだろう、兼古先輩から何度か電話が入っていた。しかし、仕事に追われて結局連絡出来ずじまいになっていた。
「いいよ別に。忙しかったんだろ?」
それで、と思って、昼食を一緒にとる約束をしてみたら、了承してくれた。
今日は兼古先輩と二人きりだ。申し訳ないが、朝霧にはよそで昼食をとってもらうことにして・・・。
「お前の作戦はあまり評判がよくないみたいだぞ。それが俺の耳にまで入ってきている」
先輩に迷惑をかけてしまったことは謝りますけど・・・、
「すみません。僕がいると、いつも何かしらトラブルが起きるじゃないですか。だから、こうするしかないと思って・・・。他に何かいい方法があるなら教えてほしいです」
これが僕の本音だ。学校生活はトータル的にはとても楽しい。でも煩わしいことがあるのも事実だ。・・・すると、先輩は困った様子になって飲み物に手をつけた。
「今のお前はクラスをまとめる立場にいるんだろ?忙しいのかもしれないけれど、自分から問題を起こしてしまうのはよくない。結果的にはそれで仕事が増えることにはならないか?」
あ・・・。そうか、僕は問題が起きたときにそれをうまく解決できればいいと思っていた。そうではなく、問題が起こらないように手を回しておくのも、クラス委員の仕事というわけか。団体生活に慣れていない僕としては、どうもその辺りがピンと来ない傾向にある。
「それで先輩も、大事になる前に僕に忠告してくれたわけですね。ありがとうございます」
「いや、周りのことだけではない、お前自身のことも心配だから。・・・その・・・、思いつめなくていいから」
はい?
「俺の思い過ごしだったら忘れてくれていいけど、何かそういうところがあるから。お前には・・・」
今は別にそんなことないと思いますけど・・・。
「そうだよな。この間の役がそういう役だったから、普段のお前もそう見えたのかもしれない。・・・そうだよな、俺みたいなおせっかいなやつも、あんまり好きじゃないよな」
そんなことありません。僕のことをそんなにも心配してくれていたなんて、嬉しい限りです。
「先輩さえよかったら、たまには相談に乗ってもらってもいいですか?先輩は僕にないものをたくさん持っているので、少しでもおすそ分けしてもらえたらと思いまして」
「お前、本気で言ってるのか?」
・・・何かおかしなことを言いました?僕。