今日は由利くんと一緒に昼食をとった。
昨日一緒に帰ったときも言っていたけど、由利くんは沢渡くんのことを見直したそう。
「悔しいけど、彼の言っていることは正しい」
と。何を話したのかは教えてくれなかったけれど、私の役に関しては理解を示してくれるようになったみたい。
「じゃあ、思いっきり演技してもいいの?」
「舞台の上では別人だから、何をしようと関係ない」
とか言いながら、しな~っと目を反らさないでくれる?
「分かった。コンクールは絶対に観に来てね」
うん、と今度は頷いてくれた。
そして放課後、気持ちを高めて演技に臨むことにする。・・・私たちの出番までには少し時間があったので、沢渡くんと話をしていた。
「由利くんと話してくれてありがとう。・・・彼は演劇にあまり興味がないみたいだったけど、コンクールは観に来てくれるって」
そう、それはよかった、と、役そのままの笑顔で微笑んだ。
「だったら、僕も遠慮なく演じさせてもらうよ。舞台ではとても仲良しなカップルになりたい、だから、僕にリクエストして。君のことが好きで好きでたまらない彼氏になりたいんだ」
・・・だから、本当に愛されているわけでもないのに、そんなことを言われても困るって。でも私も考え方を変えることにした。この貴重な機会をみすみす逃すわけにはいかない!と。
「そんなこと言って大丈夫?彼女に恨まれたりしない?」
「大丈夫だって。大丈夫じゃなかったら、こんなこと言わないよ。それから、他の女の子から変な目を向けられたときにも、ちゃんと責任を取るから」
・・・相変わらずの言葉ね。自信たっぷりな様子。
「だったら、1回役のままデートして。そうすればもっと、お互いのことを知ることができて、リアルな演技ができるんじゃないかと思って」
「それはいいことだと思うけど・・・、スケジュールをチェックしてから返事をさせて」
スケジュール?