2/29 (月) 14:30 サプライズ

昨日は貴くんと一緒に、都の演劇コンクールを観た。・・・今貴くんは忙しい時期。先日の誕生日も、仕事が忙しくて会えなかった。でもその分、昨日は束の間だったけど一緒に過ごせたから、嬉しかった。

「杉浦先生」

授業が終わって職員室に帰ると、教頭先生からお呼びをいただいた。

「なんでしょうか?」

教頭先生は妙におどおどなさっている。

「校長先生がお呼びです」

はい?・・・私がこの春で学校を辞めることは、先日校長先生から話していただいた。まだ何かそのことで?

教頭先生の後に続いて校長室に入っていくと、・・・そこにはなんと、皇太子殿下がいらしていた。

「どうしたの?」

「ちょっと、問題が起きてね」

・・・とうとうその日が来たのね、と思った。

話によると、昨日一緒に観劇したことが、新聞の記事になったのだそう。私たちはこれまでも特に付き合いを隠してきたわけではなく、デートにもよく出かけている。でも今まで大した記事にならなかったのは私が一般人だからで、また王宮も何らかの圧力をかけていたからに違いない。

それが今回少し目立った記事になったのは、貴くんの誕生日が直後だったから、そして私が仕事を辞めることが決まったから。・・・ただ、私やこの学校の名前が出ているわけではないとのこと。でも調べてくるマスコミがいないはずがない。

「できれば彼女の仕事の邪魔をしたくはありませんでしたが、このような事態になり申し訳ありません。ただ、私たちが無事に結婚する運びとなりましたときには、こちらの学校にもマスコミが訪れることになると思います・・・」

結婚・・・改めてその言葉を聞くと、何だか気恥ずかしくなる。だって、今隣に座っている人は、スーツでビシッと決めて、気品溢れる雰囲気を醸し出していらっしゃる皇太子殿下なのだから。

「できるだけ、3月いっぱいはこちらにご迷惑をおかけしないよう、マスコミにも手を打っておきます」

「そうしてくださると助かりますが、おめでたい話ですから、私たちも協力させていただきます。それにしても、杉浦先生からは私的なことは一切聞いておりませんでしたので、驚きました」

・・・すっかり和んで話しているし。でも貴くんはできれば他の先生方には内緒にしてほしいと話して、こっそり帰っていった。忙しいのにわざわざ学校まで来てくれて・・・、私たち自身は特別な話はできなかったけれど、嬉しかった。

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