3/22 (火) 17:00 憧れについて

部活では新入生歓迎会に向けての練習が続いている。と言っても、一度は完成させた作品だし、相手がクリウスの学生だということから気楽な練習になっていて、それよりも何かしらの話し合いが行われていることが多い。

今日のテーマは「憧れ」について。憧れることの必要性やその時の気持ちがどんなものかについて、それぞれが意見を出し合っている。

「憧れることは大切だと思います。誰かしらそういう目標を作ることで、その人に近づけるように努力するから」

これには僕も納得。部員に聞いてみると、みんな憧れの人がいるとのこと。ただしそれが必ずしも身近な人でなかったり、中には映画に出てくる架空の人物という人もいたりした。

「でも私は、憧れの人には会わないほうがいいんじゃないかと思います。その人のいいところだけを見ていたいし、実際に会っても緊張して話なんかできないと思うし」

「それは憧れの度合いによるんじゃないかな?例えば、学校の先輩とか会社の上司だったら、直接指示を仰ぐことができたほうがいいわけだよね」

「そうですね。でも見ているだけで幸せな気持ちになれることだってあります。例えば芸能人だったり、兼古先輩とか沢渡くんだったり」

「それは、実際に会うとイメージが崩れるってことか?」

先輩が言って、みんなが爆笑する。

「でも、憧れるなんて言われると嬉しいのは確かだよ。ただ、だからと言って妙に恭しい態度に出られると引いてしまう」

「僕は先輩に憧れていますけど、憧れている故に、少しでも一緒にいて学ぶべきところは学びたいと思っていますよ」

「こういう健全な接し方は大歓迎だ。もっと教えてあげることはないか、と張り切ってしまう」

「じゃあ、憧れの気持ちは心にとどめておいたほうがいいってことですか?」

「そうだね。憧れと恋愛感情は近いところにあるから、変化されると怖いよね」

「僕は必ずしもそうではないと思います。先輩に憧れているからと言って恋愛感情に発展したりはしません、っていうのはあまりいい例えではないかもしれませんけど・・・」

「おい沢渡、お前でも冗談を言うことがあるのか?」

・・・そしてまたみんな爆笑。・・・失礼ですね、先輩。

「憧れと恋愛では求めるものが違いませんか?もちろん相手を敬う気持ちを持つことは大切ですけど、恋愛をするなら相手からの気持ちも関わってきますよね。それに相手と一緒にいることが大切ですよね。だからこの二つの違いを理解しなければならないんじゃないですか?その意味では僕も、憧れは相手の気持ちとは関係ないから、各自の心にとどめておいたほうがいいと思います」

憧れている、と最初に言って親しくなるきっかけを作るのはいいことだと思うけど、あまりその気持ちを出しすぎると逆に溝ができてしまう、というのは先輩と同感だ。

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