7/11 (月) 13:00 充電

やっと、深雪が僕のものになってくれた気がする。

前の恋愛で学んだことをそのまま彼女に与えてしまったことには、大いに反省した。でも昨日まではそのことにすら気づかない始末で、ただただ好きだという気持ちが、先走っていたようだった。

・・・こんなに誰かのことを好きになったことは、今までなかった。でもただ好きなだけではダメで、相手を思いやる気持ちが大切なのだ、ということにも気づかされた。

昼休み。明日からは試験なので、今日が終わると当分一緒に食事をすることができない。

「先輩、上柳さんのことを教えてくれませんか?」

うっ、痛いところを突いてくる。でも、土曜の勉強会でのことは兼古先輩から聞いていたので、話をしなければ、と思った。

「彼女のことには、僕にも責任があると思う。僕はまだ演じることに慣れていなくて、その切り替えがうまくできなかった。それに・・・人付き合いにも慣れていなくて、どう接したらいいのか分からないところもあった。でも、今回大きく違うのは、僕は君のことが好きで、守ってあげたいと思っていることだ。君を追い詰めたりしない、何かあったらすぐに言ってほしい」

友達から好意を持たれることは嬉しいことだけど、それに応えることができない場合には重荷になる。でも今回はお互いに好きなわけだし、これから楽しみ・・・な、はずだったのに。

「あの、その情熱的なセリフ、ちょっと控えてもらえませんか?」

彼女が恥ずかしそうに言う。・・・え?何?

「先輩は言い慣れているのかもしれないですけど、あんまりそうやって好きだを連発されると、ドキドキし過ぎちゃって、どうしたらいいのか分からなくなるんです。先輩の気持ちは十分分かりましたから、ね」

あ・・・、確かに、昨日は僕の瞳をずっと見つめてくれた深雪なのに、また顔を上げてくれなくなってしまっている。

「ゴメン、追い詰めてしまっているのは、この僕か」

「ああ・・・いえ、あの、そういうわけじゃないんですけど、全国大会のこともありますから、そんなに浮かれてもいられないなって思って」

そうだね、僕たちにはまず全国大会が大事だ。兄妹役を演じるには、ほどよい距離感が必要、か。

「じゃあ、試験が終わるまでの分、ハグさせて」

今はハグと軽いキスだけにとどめておこう。そのほうが彼女も喜ぶから。

「あの・・・、成績があまりよくないんです。すみません」

え?そうなの?

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