今日は久々に部屋で舞と食事をし、一緒の時間をゆっくり過ごしている。来週は出張がある上、来月の外遊の準備にも追われそうだ。でも極力、仕事の話はしない。
「ねえ、祐一くんたちが、テレビに出るみたいよ」
この間は、僕たちの部屋のゲストルームに泊まっていったついでに、少し話をしたのだけど、お互いの恋愛には触れることなく、昔話で盛り上がった。一度釘を刺せばそれで十分だと思ったからだ。有紗さんがオープンにしたいならそうすればいい・・・彼女が傷つくことを期待している、そんな自分が嫌になる。
「どうしてそんなに有紗さんのことが嫌いなの?」
・・・そんなにはっきりと嫌いだなんて言ってないじゃないか。
「そういう舞こそ、この間誘ったとき一緒に来なかったくせに。話したことはある?」
「挨拶はさせていただいたわよ。でもそんなに嫌な気はしなかった。・・・やっぱり沢渡さんとのことが原因なの?」
僕としてはいろいろと相談に乗っていただけに・・・、結局はあのプライドの高さが苦手なのだろう。でも陛下の有紗さんに対する接し方が冷たすぎるのも気になっていて、あんな風に育てられればそうなってしまうのも当然だろう、と同情してしまうところもある。
「僕は舞みたいな女性が好きだという、ただそれだけだよ」
「あ、誤魔化した」
別に誤魔化してない!自分でもよく分かっていないことを無責任に言うのはどうかと思っただけだ。
「やっぱり、沢渡さんのことになると、貴くんは人が変わるから」
「全国大会は僕の代わりによく見てきて」
・・・もうすぐ全国大会だけど、僕は仕事があって見に行けない。
「それは必ず。・・・でも、また泣いてしまいそうだわ」
「この週末も合宿があって、更に詰めているみたいだからね。彼女とのやりとりもますます楽しみだね」
「その深雪ちゃんのことはどう思う?」
え?僕?
「きちんと話したことがないから分からないけれど、沢渡くんの話によると僕のファンみたいだよ」
「もう、貴くんのバカ!」
そういう話を振ってくるからでしょ?