部活の合宿があったために、結城との定例夕食会は今日になった。
「殿下はどうかなさったの?どことなく元気がないような感じだけど」
仕事はもちろん全然問題なくこなしていらっしゃるけど、一人執務室でぼぉ~っと宙を眺めていらしたのが気にかかっている。最初は舞さんが実家に戻られたのが寂しいのかな?と思ったのだけど、どうも違う気がして・・・。
「お前には関係ないことだけどな、舞さんがマリッジブルーみたいで」
「え?どうして?」
「それが分かっていたら、響があんな顔をしているわけないだろ?」
それもそうだ。いつも落ち着いていらっしゃる殿下があんなに取り乱されているのが、驚きだったわけで・・・。
「文化祭は一緒に見に来てくださるのかな?」
「う~ん。こればっかりは俺たちがどうこう言ってもしょうがないじゃないか。別に喧嘩したというわけでもないみたいだし、そんなに心配しなくてもいいと思う。・・・だって、今回の結婚にどれだけ多くの人が動いていると思ってるんだ。舞さんはそんなに子どもじゃないよ」
今更何かあったら、マスコミや国民のみなさん、来国予定の外賓の方々にどう対応したらいいのか分からない。・・・そんなことが絶対にあってはならない。
「大丈夫だって、心配するな。それよりも学校の件だけどな、理事長が、生徒会長になってくれれば、少し出席日数が足りなくても目をつぶると言ってきた。・・・なかなかやるな、その条件はこちらとしてもおいしい」
「そんな!学校に行かずに、どうやって学校のことを把握するんだよ。それじゃあ務まらないよ」
「それは、いい協力者がいれば問題ないはずだ。・・・今だって、何もかも一人で全部の仕事をしてるわけじゃないだろ?人に任せること、人をうまく使うこともいい加減学べよな」
協力を仰げる人がクリウスにいるかな?・・・今まであまり周りと関わりを持たないようにしてきたのに、今度はその逆を求められている。少なからず王宮には振り回されている気がしないでもないが・・・。
「兼古先輩からのお願いには応えられそうでよかった。先輩からもアドバイスしていただくよ」
「そうしてくれ。王宮としては、お前をできる限り学校に行かせたいと思っているのは今も変わってないから。おかげさまで世間からの評判は上々だ。高校生長官として、高校生など若者にも政治に関心を持ってもらえるように、お前には広告塔の役割も担ってもらうから・・・せいぜい、肌と髪の手入れには十分励むように」
は?最後のくだりは何?普通は身体を鍛え上げるように、とかでしょ?