8/5 (金) 21:30 魂胆

殿下がアイツ・・・とおっしゃっていたのはモーリス殿下のことだったようで、もともと響殿下とお二人で昼食を取られる予定にはなっていたそうだけど、それが夕食に変更になった上、急に僕も呼ばれることになったのだとか。

“君はどうして急に、こんなことを言い出したのかな?僕にだって予定があるんだよ” Continue reading “8/5 (金) 21:30 魂胆”

8/4 (木) 16:00 移動の車中にて

殿下へは、外国にいるのにホーンスタッドから結婚の儀に関する打ち合わせが追いかけてくる。移動中、殿下とあれこれお話しさせていただけると期待していた僕としては、それが残念でならない。しかしその分、

「沢渡くんは、代わりに議会のフォローをよろしくね」

とお願いされたので、僕はパソコンとにらめっこ・・・のはずが、電波状態がよくない。電車の行く手はトンネルに次ぐトンネル、となると、こちらで仕入れた新聞を読むしかない。 Continue reading “8/4 (木) 16:00 移動の車中にて”

8/3 (水) 23:00 妥協点

前回殿下に同行させていただいた時には完全に秘書としてだったが、今回は次期皇太子として、また次期財務長官として、いくつかの場で紹介していただけることになった。

「先に言っておくけど、お若いですね、などと言われた時に、わざわざ知識をひけらかすようなことを言ってはいけないよ。かと言って、まだまだ未熟者ですが・・・などと謙遜してもいけない。相手を褒めたり、当たり障りのない話題を提供したり、自然な形で話の矛先を違う方向に向けさせること。最初が肝心だから、頑張って」 Continue reading “8/3 (水) 23:00 妥協点”

8/2 (火) 23:00 ツボの違い

出発が明日に迫り慌ただしいが、電話はかけておきたい。・・・事情は昨日話しておいた。でも彼女には実感が湧かないのか、これという反応は返ってこなかった。それもそうだろう、電話やメールは世界のどこにいても通じるのだから。

「ただ、時差があるし、仕事も忙しくなるから、いつも通りには電話できないかもしれない。そのときはメールを送るよ」

“あの・・・、あんまり無理しないでくださいね” Continue reading “8/2 (火) 23:00 ツボの違い”