小説の部屋
石井くんの言葉を彼に伝えると、ちょっと大袈裟だけど、あながち間違ってない、と言われた。
“でもそれは、深雪のことだから、という理由からだけじゃなくて、誰かをターゲットにした性質の悪い中傷をなくしたいからなんだ。僕も去年、素性を明かさなかったことでいろいろな面倒に巻き込まれた･･･まあ、明かさなかった僕のほうにも非があったけどね。なのに、僕が財務長官に就任したら、手のひらを返すように僕のことをチヤホヤしてくるんだよ、そういうのってバカバカしくない？そういう人間は信用できないし、社会でも通用しないだろう。だから、生徒会長の地位も利用させてもらって、ビシッとしつけ直したいんだ” Continue reading “10/6 (木) 0:10 普通の恋人たち”
「凄いね～、沢渡先輩に向かってタメ口で話しちゃうんなんて」
昨日のことで私と同じくらい舞い上がったのは、若菜だった。
「だって、タメ口で話さないと返事してくれないんだもん。･･･今は大分慣れたけど、最初は大変だったんだよ」 Continue reading “10/5 (水) 16:30 護衛”
昨夜遠足のことについて聞いてみたら、兼古先輩からも連絡があったとかで、みんなで遊園地に行こう、ということになった。ただ彼自身は行けるかどうか分からないとのこと。
「そうなんだ～、来てほしいよね～。･･･来てほしいと言えば、次はいつ学校に来るって？」 Continue reading “10/4 (火) 14:30 サプライズ”
無投票で生徒会長に就任してまた一つ肩書きが増えてしまった彼の二言目は、決まって、「大丈夫だった？」
彼は私たちの交際を公表してからずっと、私の身を心配してくれている。ただでさえ学年が違うので学校ではなかなか会えないのに、仕事のため、学校に来られるのは週の1/3程度になっている。でも１年生は基本的に彼のことを雲の上の人みたいに思っているみたいなので、私に対して何かしてくるということはないのだけど、怖いのは先輩方。特に２年の先輩。最近は、彼が学校に来ていないときに学食に行くのは怖いので、いつも部室で食べるようにしている。 Continue reading “10/3 (月) 14:00 あなたに会いたくて”