学校に着いたのがたまたま休み時間になったせいで、
「誕生日までにまた学校に来ることある?」
「何か今ハマっているものはありますか?」
「~の舞台って、観に行く予定ある?」
などと、廊下を歩く最中に質問攻めに遭ってしまった。いえ、お気持ちだけで十分です。何かいただいたところで、お返しすることもできませんから。
というわけで、例のごとく、担任の監督の下、別室で期末テストの半分を受けたあと、待ち合わせした学食へと向かった。
「ゴメン、少し遅くなってしまって」
大抵の人はテストが終わったらすぐに帰ってしまうため、学食は閑散としていた。しかし、深雪が一人でいたのを見た女の子たちが、僕が来るのではないかと推測したらしく、ちらちらとこちらの様子を伺っていた。
「今日の出来はどうだった?」
「結構出来たと思うよ。希のおかげです、ありがとう」
どういたしまして、と、ご褒美のキスを頬にする。・・・もちろん見られているのをわきまえた上で。でもキスをしたら、冷静ではいられなくなった。一昨日は変な夢を見てしまったし、昨日は有紗さんと気まずいひとときを過ごしてしまったし。
「このあと、少し時間ある?」
「え?・・・明日のテスト勉強があるけど」
「俺にもそんなに時間があるわけじゃないから、最後まではできないかもしれないけど・・・」
ちょっと!ここでそういう話する?と深雪は真っ赤な顔をして辺りをキョロキョロ見回した。
「Je te veux. Je ne peux plus me retenir.」
「え?何?」
・・・ほしくてたまらない。それでも一応、普通に食事ができるくらいの理性は持ち合わせていると思っていたけど、彼女の顔を見たらもうダメだ。疲れているんだなあ、僕は。渇きが癒せない。
早く食べて、と、僕は彼女をせかし、一緒に車に乗り込んだ。会いたかった。愛しい深雪。
後部座席に押し倒して、僕はむさぼるように彼女の肌を求めた。