12/26 (月) 19:00 愛されている自信

学校は冬休み。冬休みは部活がないので、希に会えない。

それだけでなく、希は来年早々に始まる議会の準備と、間もなく新婚旅行にお出かけになる両殿下の留守を務めるための準備とで、忙しいことこの上ないらしい。

でも考えてみれば、一年前の今頃は、希の存在すらも知らなかった。見目麗しくハンサムな人で、しかも文武両道で、王宮の高官で、テレビにもたくさん出ていて、奇跡的に私のことなんかを愛してくれるという、その人のおかげで、私の生活はすっかり変わってしまった。何の希望も見出せなかった毎日が嘘のように、ドキドキの連続だ。

夕食時、珍しくパパが早く帰ってきたので、三人でテーブルを囲んでいると、今年一年を振り返る企画の番組が始まった。すると、やっぱり登場するのが、「沢渡希氏、高校生財務長官に!」という話題。・・・実は、この番組で希に触れられることは、事前に加藤さんから教えてもらっていた。つまり確信犯ということ。どんな反応をするか見てみたいと思って。

「最近は、ウチにいらしているのか?」

・・・何も知らないの?・・・まあ、希が来るときはインターフォンを鳴らさず、直接私の携帯に連絡をくれるから、知らなくてもしょうがないか。でもママは知ってると思ってた。

「見ての通り、最近は忙しいから、迷惑にはならないようにしてる」

「ということは、深雪が会いたいと言えば、いつでも会いに来てくださるというわけか」

いやだ、パパったら。そこまでは言ってないよ。・・・でも、言ってみたら来てくれそうな気がする。

「愛されているんだな」

え?え~!そんなにはっきり言われると、照れるよ。恥ずかしい。・・・そうなんだよね、私ってば、希に愛されてる。愛されてるの~!

改めてテレビの中の希を見ると、クールな顔立ちで、記者からの質問に受け答えをしていた。スーツ姿がたまらなくキマっている。でも私は、その隙のない表情が緩む瞬間を知っている。そして、私をほしがって、甘い声で私の名前を呼ぶときのセクシーな顔立ちも・・・。

考え出したら止まらなくなってしまって、、、夕食の後、すぐさま部屋で携帯を取り出した。でも今電話したところで、仕事中に決まってる。ここはグッとこらえて、さっきの番組の感想と、そのときのパパの様子をメールに書くことにする。

そして数分後、メールが着信。しかも動画付き!

“愛してるよ、チュッ”

だなんて!!!・・・ああ、もう一回見よう。・・・まだまだ、もう一回。もう一回。

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