1/1 (日) 2:30 新しい年の幕開け

年が明ける瞬間、私は希の腕の中にいた。周りに人がたくさんいたのに、・・・みんな自分たちのことで精一杯だから、誰も見てないよ、と希が言うから、おとなしくその温もりに包まれてた。

「深雪と出逢ってから、人生が大きく変わったよ。誰かのことを愛しく想うことなんて、今までなかった。深雪のことを想うとき、温かい気持ちになれる。・・・会えなくてイライラすることもあるけど、深雪のことで一喜一憂していることすら僕にはとても新鮮で、毎日がとても楽しいよ。ありがとう」

え~、そんな。私は希からお礼を言われるようなことなんて、何もしていない。・・・そもそも、希の願望って?

「希は私にどんなことをしてほしいの?私も希のために何かしたいよ」

そう言うと、希ははっと身を引きはがして、私を見下ろす体勢に入った。

「そういえば、俺は深雪に何も望んではいない。ただただ、俺の都合で振り回してしまっていることに対して、申し訳なく思っているだけだ」

え~!そんなのってあり?私は私で、私のことなんかを愛してくれるなんて奇跡的なことだと思っているくらいなのに、何だか噛み合ってない感じがするよね。

「希って謙虚すぎ。もっと思う通りにしていいよ。だって、希のほうが断然忙しいんだし、大変なんだし、私が希に合わせるのが当然だよ。・・・それに、私は希にしてほしいことはちゃんと伝えているよ。だから希も、どんどん言ってよ。私は希色に染められたいな」

すると希は、見る間に瞳を潤ませて、私のことをぎゅ~っと抱きしめてきた。

「俺には深雪がいてくれるだけで十分だよ。わがままでゴメンな」

「だから、その謝るのはなし。希から求められるのって、凄く嬉しいよ。できるだけ応えられるようにするね。希のことが大好きだよ・・・」

「うん、俺も大好きだよ」

そして希は私を実家に連れて行って、優しく優しく抱いてくれた。幸せ・・・。幸せすぎて言葉にならない。私は希のことを離したくなくて、ただただぎゅっとしがみついていた。もう、何もかもが好き。整った顔立ちも、綺麗な髪も、時々意地悪を言う声も、私のことを大切に思ってくれるその気持ちも、力強い腕も、直に伝わる体温も。

「今年はどんな一年にしたい?」

そうだなぁ・・・。

「希と一緒に成長できる年にしたい。・・・頑張って成績を上げないとね」

「そうだな。しっかり勉強しろよ」

頭をポンポンと叩く希。・・・希に見合うような彼女になりたい。

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