もうすぐ試験!それが私の現実だった。…今まで希のことでいっぱいになりすぎていたかも。世間の人々は、響殿下ご夫妻の死を悲しみながらも、徐々に日常に復帰して、希が皇太子に即位したことを受け入れている。かく言う希も、毎日いろんな顔を見せているので、私のことを心配してくれているのも、彼の一面でしかないということを覚えていかないといけない。私ももっと大人にならないとね…。
ということで、試験勉強、今日は外国語。テレビでも流れているけど、希は語学が堪能で、発音がとても綺麗。に対して私は、これまでにも語学をマスターするコツをいろいろと教えてもらっているけれど、センスがないに違いないと思ってしまう。
“そんなことないって。そこは努力でカバーだよ”
「希が苦手なことってある?」
“そんなのたくさんあるよ。例えば、料理とヘアメイクは完全にお手上げ。だから、深雪の髪型が会うたびに違ってるのが凄いなぁ~っていつも思う”
そうなの?そんなに凄いって思われるほどのことでもないと思うけど。
“深雪って、将来何になりたいの?”
え?またそんな突然。でも確かに、先週学校で進路希望調査の用紙をもらったけど、未だに書けないでいる。
「どうかな?まだよく分からない」
“ヘアメイクの勉強してみたらどうかな?…いずれ、俺のも深雪にしてもらえたらいいな”
ホントにそんなこと思ってるの?
“そして、俺のそばにいてくれるなら、外国語ができるといいな”
ギクッ。そうだよね、希のそばにいるなら、ふさわしい相手にならないと。
“そんなに苦手だっていうなら、俺が直接レッスンするけど?”
え~!それは願ってもないことだけど。
「でも、自分でできることはできるだけ自分で頑張りたいと思ってるから、もうちょっと待っててくれる?」
“もちろんできるだけ頑張ってほしいけど、俺も語学力が衰えないように、加藤相手にいろんな言語で話すようにしてるよ。俺も深雪の役に立てるならぜひやりたい”
うっ。…ダメすぎて、嫌いにならないかな(汗)。
「…それは、明日から?」
“いつからでもスタートするよ。…何なら今からでもいいよ”
それは待って!沢渡先生は厳しいな(汗)。
「すみません、明日からにしてください。その代わり、お土産を持って行きますので…」
“そうなの?じゃあ、明日会えるのを楽しみにしてるよ。おやすみ”
「おやすみ」
そうだよね…。希のそばにいるということは、そういうことだよね…。私も頑張らないと!