2/15 (水) 16:00 恋愛談義

今日は授業に3コマ出られた後、メディアの撮影があり、ヘアメイクの仲野さんとともに現場に来ている。

「殿下は、大分お疲れのご様子ですけど、大丈夫ですか?」

仲野さんは、ある意味殿下を一番近くで見ている人になるかもしれない。やはり、そう思いますよね。

「昨日は、深雪さんから、元気が出るクッキーをいただいたそうですよ。…ですが、気持ちでカバーできるのも時間の問題ですので、仕事をセーブしようと努めているのですが、なかなか難しくて」

「でも、殿下の身に何か起きたら、そのほうがよほど大変ですよ」

そうですよね…。頑張っていらっしゃる殿下に水を差すようなことはしたくないが、その殿下ご自身が、体調管理を私に一任されたのだから、しっかりお支えしなくてはならない。

「それにしても、深雪さんはかわいらしいんですね。元気が出るクッキーだなんて。そしてまた、それを嬉しそうに召し上がる殿下もまた、かわいらしいですね。まだ、高校生なんですものね」

仕事ぶりを拝見していると、つい殿下が高校生であるということを忘れてしまいそうになるが、ふとした瞬間にお見せになる少年の一面に、微笑ましさを感じているのは事実だ。

「加藤さんは、高校生のとき、どんな女の子と付き合ってました?」

うっ、いきなり何ですか。

「私は、イストでしたし、格闘技をやっていましたから、もてませんでしたよ。クリウスの校風が羨ましいです。…かく言う仲野さんは、どんな男の子と付き合っていたんですか?」

「それは…」

「ご自分だけお聞きになるとか、反則ですよ」

「いえ、あ、殿下のメイクが…」

…逃げられた。でも考えてみると、宮殿は、浮いた空気とは無縁だ。世間では、White Ribbon Dayに向けて、あれやこれやとプレゼント商戦が繰り広げられていたようだが、宮殿では男性の比率が高いせいもあり、恋愛が成就する例は少ないようだ…あまりそういう例を聞かない。そうすると、数少ない女性である仲野さんは、昨日はどう過ごされたのだろうか。

「私のことは二の次でいいんですよ。今は殿下のことが心配で、それどころではありませんから」

戻ってこられた仲野さんは、はっきりとそうお答えになった。確かに、私も今は、生活のほぼ100%を殿下に捧げている。…殿下は、それに値するお方だから。殿下には幸せになっていただきたいから。

「ならば、一緒に殿下をお支えしましょう」

「そうですね。少しでもリラックスしていただけるように、疲れが表に出ないように、工夫してみます」

はい、頑張りましょう。

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