2/19 (日) 19:00 定例夕食会

土曜日は深雪ちゃんへと譲ったので、最近は毎週日曜日に、沢渡と夕食をとっている。仕事で顔を合わせることは少し前よりは増えたが、それでもやはり二人きりでないと話せないことも多い。沢渡のコンディションを知るためにも、この時間は欠かすことができない。

「結城って、料理はできる?」

何だよ。

「これでも、大学のときは一人暮らしをしていたし、部活で合宿もあったりしたから、それなりにできるよ」

「え~!そうなの!」

「ただ、入宮してからは時間がなくて、全然しなくなったけどな」

「…なるほど。それで僕は料理については全く学ばなかったわけだ。料理は専門家に任せるものだと思ってたから、料理を作るという発想自体、僕の辞書にはないんだよね」

おい、俺のせいにするなよ。子育てに苦戦しなければ、教える機会もあっただろうけどな…。

「まあ、まあ、料理も結構だが、それよりもお前の仕事をきちんとしろよ。高校生討論会の準備は大丈夫なんだろうな?」

「うん。出席者の小論文をもう一度読み直して、作戦を立てているところだよ。…早川について、何か聞いてる?」

「聞いてるというか、楽屋では少し話をしたいと思っているけど」

「それって、スカウト?」

「王宮にとっては、貴重な戦力になると思うから、俺は期待している」

「そうなんだ…。僕のことは二の次なんだ…」

は?何を言ってるんだ?…焼きもちを焼いている場合か?

「別に誰であろうと、使える人間は登用する、っていうただそれだけだ。お前もせいぜい、俺に飽きられないように、研鑽を積むことだな」

「ひどーい。僕は頑張ってるよ。睡眠時間もできるだけ削って、勉強するようにしているよ」

「それは知っているが、大事なのはあくまでも結果だぞ。世間の人はそこしか見ないからな。…お前、最近あまり顔色がよくないぞ。無理しすぎて体調を崩したら、元も子もないから、気をつけろよ」

「それは大丈夫だよ。慣れてるし」

…と言ったそばから、沢渡がくしゃみをした。

「ホントに、大丈夫か?」

「僕だって、くしゃみくらいすることあるよ。心配ないって」

そうか?…何だか、目がうつろな気がするが、気のせいか?

「熱は?」

沢渡の手を取り、そして額に手を当てる。うーん、今のところは大丈夫そうだけど。

「ちょっと鼻がムズムズするけど、別に大丈夫だから」

「なら、いいんだけど。何かあったらすぐ言えよ」

…とは言ってみたが、沢渡のことだから、具合が悪かったとしても、自分からは言うはずがない。加藤に、よく気をつけるようにと言っておこう。

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