3/16 (木) 15:00 ライバル

今日は、早川が見学に来ていた。先日お見舞いに来てもらった時にも、結城と少し話したらしいが、すっかり結城の信奉者になっているらしい。議会が終わって控室に来てくれたときには、非常に緊張した様子だった。

「今日は、お招きいただきありがとうございました」

と、結城に向かって言う。コラコラ。

「それで、どうだった?今日の審議は」

しかし、はい、と、メモを取り出してあれこれ述べてくれる様子を見て、安心した。彼はきちんと分析し、客観的に疑問点や意見を伝えてくれている。こういう人間だよな、近くに置いておきたいのは。

「それで早川くん、入宮試験までのことなんだが」

結城も、抜け目がない。

基本的には、毎年11月に入宮試験があるのだが、それに先駆けて夏に事前研修がある。入宮試験受験対象者は、大卒程度と高卒程度があるのだが、やはり高卒組は知識や経験不足のせいで、研修や入宮後のカリキュラムがハードになっている。したがって、後に必要となるスキルを事前に伝えておくことで、協力しようとしているということだ。それは、少しでも早く戦力になってほしいという願いにもよるものだろう。

「それもだが、学業ももちろん頑張ってほしい。今後は、沢渡にも模試で本気を出させるから、いいライバルになってほしい」

ちょっと、結城。

「ということは、やはり本気ではなかったんですね」

「まあ、そうだね。でも、最近忙しくて、あまり学業に打ち込めていないから…」

「沢渡!言い訳なんかするな。わかってるんだろうな」

…怖すぎでしょ。もちろんですよ。僕は究極の負けず嫌いですからね!受けて立ちましょう!

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