春休みだというのに、全然休ませてくれないじゃない。どうしてこんなに宿題が多いのよう!私でさえなかなか終わらないのに、希はいつやってるんだろう?真剣に思っちゃう。だって時々見てくれる時もあるけど、私に付きっきりになってくれるから、勉強しているところなんてほとんど見たことがない。
それにしてもこの数学・・・何よ・・・。チンプンカンプン・・・。
なのに先生はスラスラ解いて見せてくれる。だから、つくりが違うのだと思う。そればっかりはどうしようもない。でも、やらなきゃいけない宿題の量は同じだなんて、不公平だ。
「聞いてる?」
「あ、はい」
「ここをしっかり理解しないと、次に進めないよ」
そうでした。いい点取らないと、希に顔向けできない。皇太子殿下の恋人として恥ずかしくない点数を取らなきゃ、迷惑かけちゃう。成績は記録としてずっと残るものだから、頑張りたい。それに折角会える時間まで、勉強の話はしたくない。出来るだけ自分のことは自分でするって、決めたんだから。
「すみません、今のもう一度説明してもらえますか?」
「分かったよ、もう一回ね」
先生も私がやる気を見せると喜んでくれる。そしてもちろん成績が上がれば、希も親も学校の先生も、みんなもっと喜んでくれる。学生だからまずは学業が最優先。ここは割り切って頑張るしかない。