もう、すっかり意志は固まっていて、迷わず書いた。
第一志望・・・王宮。第二、第三志望は空欄にしておいた。
そして結城さんに、疑問や不安をお伝えした。
「華やかそうに見えるけど、実際は厳しくてドロドロしている・・・私が言うのもなんだが。そして沢渡とは同い年で友人でもあるが、実際に仕事に携わってもらうのは、かなり先になると思う。ライバル意識を燃やす相手は沢渡ではなく、同期入宮者にしたほうがいいだろう」
それは、俺なんかでは沢渡の足元にも及ばないということ・・・。
「でも君の能力には先行きが見込めるし、是非入宮してほしいと思っている」
「・・・僕と沢渡くんとでは、そんなに違いますか?」
学校は違うし、模試は彼が受けてないし、比較となる基準がない。周りもそうだ、凄い凄いと言うわりには、何がどう凄いのかを具体的に説明してくれる人がいなくて、イマイチピンと来ないのだ。それに普通入宮の打診なら、もっと褒めてくれたっていいようなものだ。なのに結城さんは、今の僕のことはダメだって決めてかかっている、あんまりだよ。
「じゃあ、今度一日体験入宮させてあげよう。それならどうかな?」
「そういうことでしたら、喜んで」
体験入宮か。沢渡の仕事ぶりを直接見ることができるかどうかはわからないが、僕にとっては願ってもない絶好の機会だ。
加えて、次の模試は沢渡も受験すると言っていた。先月もクリウスの学年末試験では満点を取ったそうだが、殿下は忙しいからな、最近はどうだろう?全国トップのプライドに賭けても、沢渡と全面対決してやる!