11/21 (月) 16:30 決意

何なんだ、あの沢渡という男は。

優秀な成績の持ち主で、高校生にしてすでに財務長官。加えて俗人離れた外見を持ち、運動神経も抜群、演劇部でも活躍、そしてピアノを弾く・・・僕に勝てそうな項目は一つもない。あ、恋人もいる。・・・ますます勝てない。

でも彼は単に運が良かっただけだ。生まれは僕同様庶民だと言っていたし、たまたま陛下の目を引いたおかげで、いろいろなことを学ぶ機会が与えられただけだ。もし僕が同じような機会を得ていたら、いくつかの項目では彼に勝てるはず。

だけど、今更入宮したところで彼を上回ることはできない。・・・彼はすでに次期皇太子でもある。だからもう皇太子、そして国王になることが約束されているわけで、僕がいくら能力を発揮したところで彼の上司にはなれないわけだ。・・・どうする?入宮することが小さい頃からの目標だったのに、その夢は潰えた。彼に命令なんてされたくない。

そのこととは別に、薄闇に覆われ始めた生徒会室でためいきをつく僕。彼のことはともかく、イストの学生が他人を誹謗するようなサイトを作っていたことは許せない。この点に限っては彼と同意見だ。どんなにムカつく相手でも、攻撃する手段は選ぶべきだ。悪意のあるコメントをつけるだなんてもってのほか。

ああ、ただでさえ彼には負けているというのに、これ以上引け目を感じさせるようなことをわざわざやらかすのは、本当にやめてほしい。正面から戦えよ。他人の揚げ足をとるような真似などしないで、実力で勝負しろよ。

・・・それは僕自身にも言えていることだと思う。妬んでいたって始まらない。やっぱり入宮はすることにして・・・となると、早い段階から彼とのコネを強くしておくのが賢明に違いない。しかし、かと言ってクリウスに行くのはどうだ?敵情を知らずに批判するのは僕もフェアではないと思うけど、あまりにも住む世界が違いすぎる。

でも王宮ではイストとクリウス両校の出身者が一緒に仕事をすることも多々あるわけだし、この間彼が連れてきた担当者、そして側近も、イスト出身だと言っていたし、今のうちからその雰囲気を味わっておいたほうがいいのだろうな・・・。ただ他の役員から何を言われるのか分かったものじゃない。

PCを立ち上げて、彼へのメールを書く。サイト運営者を退学にした、と記す。

現実から背を向けてはいけない。彼に立ち向かうのだ。

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