11/22 (火) 17:30 生徒会役員会議

沢渡とのこれまでの経緯は、まだ他の役員に話していなかった。

「どうして話してくれなかったんですか」

という声がすかさず飛ぶ。

「サイト運営者の調査については、一刻を争う事態でした。また沢渡くんと個人的に顔を合わせた理由としては、先方が個人で来るならこちらも個人で会うのが妥当だと思ったからです。いずれにせよ、事が急に運んだため事後報告になってしまったことは謝ります」

「会長は入宮を考えているから、個人的に沢渡くんに取り入ろうとしたんじゃないですか?」

「取り入るも何も、彼からの提案を断ったことは先ほど話しましたし、今後の方針については今こうして会議にかけているわけですから、誤解しないでください」

テーマはあくまでもイストとクリウスの関係についてであって、彼と僕ではない。・・・どうして、彼らがいつも個人ばかりを攻撃しようとするのか分からない。大体イストの学生たちは、個人個人で行動することが多く群れることがない。沢渡が言っていたように、チームになって働くことが難しい・・・のは、多分僕にも言えることなのだけど。

「とりあえず明日の集会では今回の事件のことを話して、クリウス側に迷惑をかけるようなことがないようにすることを徹底させます。クリウスとの会食の件は、みなさんの態度を見ていて分かりました、これからもなし、ということで」

結局、僕がリーダーシップを発揮しないとまとまらないのだ。偏差値は高いが話し合い一つまともに進められないのが、この学校・・・。

会議が終わり他の役員はさっさと帰ってしまったが、僕はその場にたたずんでいた。すると一旦は出て行ったはずの副会長が戻ってきた。

「クリウスには行くなよ。お前が行くと、ますます亀裂が深まる」

「・・・それは、ウチの生徒会にってことか?」

「そうだ。これまでの伝統を考えろよ。イストとクリウスは相容れない関係にあるのが普通の状態だ。先輩たちの伝統を受け継ぐのが僕たちの務めだろ?」

そうだけど・・・、生徒会役員のあんな態度を見せられたら、嫌な気分にもなる。別に沢渡のほうがいいということでは決してないけれど、いいことはいい、悪いことは悪い、と自分でしっかり判断できるところは好感が持てる。・・・アイツに弱みはないのか?このままでは分が悪い。これから徹底的にマークしなければ。

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