12/12 (月) 23:30 疲労の果て

アイツは無防備すぎる。僕といることが普通になってきたのはいいことだけど、あまりにも男を知らなさすぎている。そのあたりは少しも成長していない気がするな・・・。さすがにご両親がいる家では、万が一のことがあってはいけないのでずっと我慢してきた。でも、週末のパーティーでは二人きりの時間を邪魔されることはないだろうから、心置きなく愛し合いたい。もう少しの辛抱だ・・・。

そして今は朝霧の相手をしているところ。・・・音楽家として忙しいらしく、またも黄色信号が点灯中なのだけど、・・・正直眠くてたまらない。

「ゴメン、10分ほど寝かせて。まだ他にやらなきゃいけないこともあるから、遠慮せず叩き起こして」

そしてそのまま、ソファーに横になる。今日は疲れた。明日は・・・。

目覚めると、僕の腕の中で深雪が寝ていた。相変わらず無防備な様子で、すやすやと・・・。僕は彼女の髪を優しく撫でながら、思いを巡らせる。

彼女と出逢えて、僕は変わったと思う。当初は心がかき乱されることばかりだったが、今では心のよりどころになっている。彼女がいるから僕は頑張れる。彼女の笑顔をもっと見たいと思う。でもなかなか会える時間を作れないのが現状で・・・一緒にいるのに寝るのはもったいない、と思ってしまう。

「深雪」

でも彼女は一度寝入ってしまうと余程のことがない限り目を覚まさない。それをいいことに、あそこにも、ここにも、そこにも、・・・とキスをしていたところ、あることに気がついた。・・・温かいのに、寝息も聞こえているのに、心臓の鼓動が聞こえない!

「深雪!深雪!」

胸に手を当ててみるが、静かなままだ。脈も打っていない、でも呼吸はしている。どういうことだ!?

「沢渡?沢渡?」

は?今度は自分が揺さぶられているのを感じて、ふと我に返る。・・・なんだ、夢か。

「どうしたの?何だかうなされていたみたいだったけど」

「深雪が・・・」

言いかけてやめた。それよりも、電話して確かめたほうがいい。・・・よかった、無事だった。

・・・あり得ないよな、そんなこと。ただの夢だ。

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