12/25 (日) 23:00 二人きりの時間

日曜だけれど、議会前ということで仕事に追われた一日の終わりに、結城と二人きりになる時間ができた。

「ちょっとドライブに行かないか?」

他人に聞かれたくない話をするときは、決まって僕をドライブに誘う結城。今日は何の話だろう。

「お前と親しくなったのは、沢渡がきっかけだったな」

・・・昔話か。そうだ、僕と沢渡くんは同期入宮だったが、ある日展望台で泣いていた沢渡くんを見かけるまで、その存在を知らなかった。彼は陛下の秘蔵っ子ながら当時はかなりの問題児だったそうだが、僕には心を開いてくれたので、彼の教育係の結城と話す機会が増えた。

「俺はまず、仕事仲間としてお前のことを頼りにしている。俺が皇太子にならずに沢渡の教育係のままでいることにしたのも、お前になら任せられると思ったからだ。すぐさま茶化す傾向にあるのはいただけないが、考え方が似ているし、人当たりもいいし、お前のほうが表に立つのにふさわしい」

人気のないサービスエリアで、結城はいつものごとくコーヒー片手に、静かに語り始めた。相手によっては冷たいと受け取られることも多い、そのぶっきらぼうな口調が、僕としては逆にいつも本音で向き合ってくれているのだと思えて嬉しい。

「でもそれと同時に、数少ない話し相手としてもお前のことを頼りにしている。お前は年下なのに何故かタメ口を聞いてくるところは頭に来るが、ストレスのたまる王宮生活の中で、バカなことをやってストレスを発散させることができる相手はお前だけだ。仕事仲間であり、親友であると思っている。

「結城との時間は大切だよ。二人だけで出かけると、飲めないのが残念だよね。でもその分、素面で僕への愛を熱く語ってくれてありがとう。僕は感謝の気持ちをこれまで十分に表せていたかな?これからもずっとバカなことをやっていきたいから、よろしく」

どうして結城は僕にあんな話をしたのだろう。・・・結城も実は何かを感じているのかもしれない。だから僕のほうも、茶化さずに気持ちを伝えておくことにした。

「じゃあ、握手をしようか」

立ち上がりざまに僕に手を差し出すと、結城はその手を引き寄せて僕を抱きしめた。

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