でも希はなかなか帰ってこなくて・・・お風呂に入るタイミングを逃してしまった。帰ってきたときにお風呂に入っていてお出迎えできなかったら悪いな、と思って。そしたら、帰ってきたのは日付が変わる頃だった。
「そういうことなら、一緒に入ろう」
「そ、そ、それは恥ずかしいよ」
「大丈夫だって。今更そんな仲でもないだろう?それに同じ部屋にいるのに一緒にいれないなんて、拷問のようだ」
・・・ううう、はい。でも浴室内はアロマキャンドルが水面で揺れているだけで薄暗く、そして優しいピアノの曲が流れていてムード満点だったので、少し気が紛れた。
「来いよ」
遠慮して湯船の片隅に入ると、すぐさま腕を捕まれ、後ろから抱きかかえられる形になった。
「ここに深雪がいるなんて不思議な感じだな。でも、部屋で待っててくれてると思ったら、どれだけ頑張れたことか。・・・俺にご褒美ちょうだい」
ああ、いやっ。ちょっと待って。
「待たない」
ああっ。希は後ろから首筋に噛み付くようなキスをして、なおかつそのイタズラな手は、私の胸や大事なところを刺激し続けてくるから、頭が真っ白になった。
「ダメ、ずるいよ!」
「俺の顔が見えないから?」
違うよ!との私の叫びも虚しく、希は体を反転させて私の頭を浴槽の縁に安定させると、濡れ髪を片方に寄せて垂らしたセクシーなシルエットで近づいてきた。・・・もう逃げられない。
「覚悟の上で来たんだろ?今更拒むなよ。・・・ま、拒んだところで、俺を欲情させるだけだけどな」
覚悟って・・・!ああ・・・ダメ、・・・何も考えられない。体が張り裂けそう。
「大丈夫か?」
気がつくと、希が私を優しく抱きしめていた。・・・大丈夫じゃないよ。希が凄すぎて。
「じゃ、俺が体を洗ってやろうか?」
ううん、それはいい!遠慮します!と浴槽から出ようとしたんだけど、・・・体にうまく力が入らない。
「ゴメン。俺は男だから、こんな時にお前がどんな気持ちになるのか分からないんだけど・・・、嫌じゃないよな?俺、乱暴すぎてないよな?」
何よ、その聞き方は!希が正しいことが前提なわけ?
「もう、バカ」
・・・そして私は、希の胸に体を預けた。