今日から新学期。冬休みは深雪と過ごす時間を時々作りながらも、議会のための準備を集中的に進めることができた。両殿下は明後日帰国される。楽しそうな写真が一度だけ送られてきたけれど、お二人の時間を楽しまれているのか、それ以外は全く音沙汰がない。…僕のことを信頼して任せてくださったのだと思うと嬉しいし、その間の成長を見ていただくのが楽しみで、仕事にも熱が入った。
とりあえず今日は、始業式でスピーチをした後、深雪と昼食をとって宮殿に帰ってきた。
「それにしても、殿下からこれほど音沙汰がないなんて珍しいよね。殿下の心配を減らせることができたのなら嬉しいな」
言うと、結城は一瞬ギクリとして、目を見開いた。
「新婚旅行だからな、たまにはアイツもゆっくりしたかったんだろう。そうそう、あまり心配かけるなよ」
…ん?その反応は。
「え?僕には知らせないように、こっそり二人で連絡を取っていたとか?」
「いやいや、それはない。実は俺も、あまりにも連絡がなさ過ぎて心配しているくらいだ。でも、二人でゆっくりしていることは仕官から聞いている。帰ってきたら、仕事がてんこ盛りだから、そっとしておいてやろう」
そうなんだ。…新婚旅行だもんね。ゆっくりされて当然だよ。高校のときから付き合い始めて、10年経ってやっと一緒になれたんだし、…僕たちにもそういう未来が訪れるといいな。
「ねえ、結城は結婚しないの?」
「余計なお世話だよ、バカ。忙しくてそんなことを考えている暇はない。…全く誰のせいだ」
あ…。僕?
「俺のことはともかく、お前の恋愛は止めないぞ。それで心を満たすことができるのなら、俺の仕事が減るわけだし、国民にもいい影響を与えるからな」
「それで、結城の声を満たしてくれるものはあるの?」
「それはもちろん、お前たちがいい仕事をしてくれることに決まっているだろうが。子育ては大変なんだぞ」
ムッ。僕はいつまでも子どもじゃないんだよ。
「次の議会は楽しみにしていてよ。僕がビシッと決めてみせるから」
「ああ、そうしてもらえると助かる」
財務長官として初めての議会で、注目が集まっているのは知っている。そしてまた、僕はそれに応えるだけの実力を備えていることも知っている。