2/4 (土) 22:00 個性vs協調性

今日の午後は久々に部活があって、沢渡も参加していた。

次の発表の場は4月の新入生歓迎会で、村野さんが脚本を書いた「校則ゼロ革命」を上演することになっている。テーマはズバリ、校則がなくなったらどうなるか、ということなのだけど、特に特定の主役を設定するわけではなく、それぞれの人たちを描く群像劇である。

「久々に全員揃ったわね。とりあえず沢渡くん、今まで作り上げてきたところまでの意見をもらえる?」

沢渡には、試験前に撮影した映像を見てもらっていた。

「できれば、僕はあまり目立ちたくないので、みんなの役柄をもっと個性的にした方がいいと思うんだ。例えば…」

群像劇にすることにしたのは、沢渡の要望だった。現状としては、なかなか部活に参加できないし、またどうしても沢渡や僕に観客の目が集まるので、作品全体の評価をしてもらえなくなる。それを打開するための苦肉の策だ。…しかし沢渡は、忙しかったはずなのに、いつの間に、作品に対する意見や、具体的な改善策を用意していたのか。本当に尊敬する。そして村野さんも、なるほどね~、と感心しきりの様子だ。

「やっぱり、沢渡くんが来ると全然違うわね。これからも時間は取れそう?」

「う~ん、できるだけ参加したいとは思っているけど、授業の出席日数自体も危ないから、まずは授業優先になりそう。しかも、僕が時々しか来ないくせにいろいろと意見したりして、やりにくくない?大丈夫?」

「やりにくいだなんて、とんでもない。沢渡くんの言うことはいつも正論だから、ぐうの音も出ないわよ」

「いやいや、そんなつもりじゃないよ。僕はあくまでも部員の一人でしかないし、あんまり僕の意見ばっかり採用されると、それもまた心配になるし」

…そういう話を聞いていると、沢渡ってホントにリーダータイプなんだと思う。沢渡の一言に、みんながついていく感じ。そしてまた村野さんも、実際には動けない沢渡に変わって、沢渡の考えをみんなに伝達して、それを実践してくれている。我が演劇部はチームワークがいいと思う。

チームワークか。オーケストラに関しての昨日のやりとりを思い出すと、なかなか耳が痛い話だ。やっぱり僕は、団体生活には向いてないのかな?だからこそ、オーケストラで、社交性や協調性をもう少し学んでおく必要があるのかな?

 

夜、部屋でヴァイオリンを弾きながら考えた。ソリストとしての僕は、やはり集団に埋もれるわけにはいかず、特に今後ソロ活動をメインに考えていくのであれば、個性や独創性をもっと前面に出す方向に持っていかなければならない。でも、ソロ活動の背後には、多くの人々が動いているわけで、その人たちとうまくやっていくことも大切だ。

沢渡の意見が聞きたい。…と思ったけど、これから毎週土曜日は、深雪ちゃんと過ごすことに決めたと言ってたしなぁ。明日にするか。でもできるだけ自分の考えをまとめておいて、少しでも沢渡の負担にならないようにするべきだね。

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