そして恒例の日曜日の夕食会では、予想どおり不機嫌を絵に描いたような男の扱いに困り果てていた。
「俺だけ除け者かよ…」
「そんなことないよ。ちゃんと支度ができた段階で知らせて、見せてあげたでしょ?」
「だけど、デザインの段階も、仮縫いの段階も、試着の段階も俺は呼ばれなかっただなんて…」
僕の保護者であることは確かだけど、もう僕は高校生なのに、過保護すぎる。うっかり別の感情さえ持っているのではないかと疑ってしまうほど、僕のことを気にかけてくれるから困る。
「でも、あれはあくまでも兼古先輩好みに仕上げたものだったから、結城が見てもつまらなかったでしょ?」
「ということは、俺が言えば俺好みにしてくれるのか?」
ほら、食いついてきた。
「何か特別なときには、リクエストに応じてあげるよ」
「だったら、議会が無事に終わったら」
うっ…。
「今から準備しても間に合わないし、それに無事に終わるかどうかは僕の頑張り次第ってことでしょ?だったらどうして、頑張ったごほうびに罰ゲームみたいなことをしなきゃいけないんだよ」
「お前が休んでいる間、俺は結構頑張ったんだけどな」
…それを言われると、僕は何も言えない。僕の自己管理が行き届かなかったせいで、周囲に多大な迷惑をかけたのは事実だ。でも、セカンドハウスで寝かされていたことで、十分に反省したと思うんだけど。
「…その節はお世話になりました。でもそれとこれとは別の話だよ!仕事でお世話になった分は、仕事で返したいから」
「なんだよ、つまんないヤツだな。たまには俺にもごほうびをくれよ」
ここは絶対にその手には乗らないんだから。うっかり許してしまったら、つけあがるに違いない。甘やかしてはいけない。
「打ち上げはすることになってるじゃない。それでいいでしょ?」
「じゃあ、そこに深雪ちゃんを呼んでくれ」
え?…仕事の打ち上げなのに、深雪を呼ぶ必要がある?
「だって、今沢渡が元気に仕事できているのは、深雪ちゃんのおかげでもあるじゃないか。彼女のこともねぎらって当然だろ?」
なるほど、そういう考え方もあるのか。
「わかった。じゃあ深雪にも聞いてみる。ただし、彼女からOKが出たらってことにしてね」