4/13 (木) 20:00 昨夜の出来事

予定には入っていなかったけど、結城から夕食の誘いを受けた。僕としても新入生歓迎会の感想を聞きたかったし、何よりも昨夜のことについて、ね。

「お疲れ」

今ではすっかり軽いハグだけになって、素直に席に着く。今日は二人で魚のコースを頼んでみた。

「大分元気そうになったよね、良かった」

「悪かったな、心配かけて」

照れくさそうに笑っていた・・・。

昨夜はピアノ弾いてあげていたらそのままソファーで眠ってしまって、でも起こすわけにはいかず、毛布をかけてあげた。僕が一人でベッドに運ぶことは無理だし加藤を呼ぼうかとも思ったけど、結城の弱みを見せたくなくて。それでも結城は仕事の途中で来たのではないかと思って、部屋まで見に行ってみたりした。でも基本的に一人で行動しているから、側近も秘書もついていない、スケジュールは彼自身しか知らないのだ。

「あんまり無茶しすぎないでよね、結城の代わりは、誰にも務まらないんだから」

「分かってるよ、でももう大丈夫。お前こそ、俺に遠慮しないでベッドで寝てればよかったのに」

結局僕にはどうすることも出来なくて、でも一人ベッドで寝るのは悪いなと思って、向かいのソファーで眠りについたけど、起きた時はベッドの中にいた。それも結城の生声目覚まし付きで。どうやら隣で寝ていたみたい・・・。

ちなみに僕のベッドはとても大きいので、男が二人寝たところでぶつかったりしない・・・にしてもさすがに深雪には内緒にしておいたけど。

「あんまり気持ちよさそうに寝てたから、しばらく見てたんだ」

昔からそうだった。いつも僕のほうが先に寝てしまって、結城の寝顔なんて見たことなかったからね。

「恥ずかしいだろ。それより運ぶほうの身になれよな」

「それはゴメン」

今までも何度か運んでもらったことがありました・・・。

「バカ、お前は軽すぎだ。もうちょっと筋肉つけろよ」

「栄養は身長に取られてるみたいで」

「もう止まってもいい頃じゃないか?今何センチ?」

「183」

そういう自分は190もあるじゃないか。分かった、追いつかれたくないんだ~。

「深雪ちゃんと話すのがしんどくなるぞ」

あ、そう来たか。・・・今でも声が降ってくるみたいって言われてるからな。

「で、どうだった?」

学校まで見に来てくれたけど、自分の車で間際に乗り付けて、終わった後もさっさと帰ってしまったから。

「お前が学校で楽しくやってる様子を垣間見れて面白かったよ。でも、一年生が入ったら出演者が多くなるわけだから、生徒会長としてはまとめるのが大変だ」

「それは言えてる」

集団を統率するコツ、人を仕切るコツは、いつも陛下や結城からご教示いただいているけど、無法地帯になった時のことは誰にも予想がつかない。それは僕なりに考えて、意見を提出したわけだけど。

「でもやっぱり、お前と出演者の個性のバランスがちょっと悪いよな。どう仕上げるかという実際問題も、お前の手にかかってるってことだな」

「そうなんだ。今度は気合い入れて頑張るよ、楽しみにしてて。・・・ところで」

聞いてもいいのかちょっと迷ったけど、聞いてみることにした。

「何かいい夢でも見てたの?」

すると、はあ?と興味なさげに首をかしげた。これはダメだ、覚えてないようだ。つまんないの。

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