休み時間、クラスメートと話していると、視界に親友の慌てた姿が飛び込んできた。
「沢渡、数学の教科書貸して」
お願い、と、手を握ってくる様子は、なかなかかわいらしい。
「悪いけど、今日は、数学ないんだよ」
ガーンと吹き出しがついてしまうような表情を見せて、ガックリうなだれて・・・すごすごと帰って行こうとする後ろ姿はあまりにかわいそうすぎたので、呼び止めてあげた。
「冗談だよ。はい。・・・その代わり」
「イチゴ牛乳を一本追加しておきますので、お願いします」
こらバカ!人前で言うなって!!!
「え~何。沢渡、イチゴ牛乳好きなの?」
ほらほら~、また余計なことを・・・。振り向きざまによくそんな余裕があったな、でも許さないぞ今度こそは!
「違うよ、ネコちゃんに」
え?反射的に振り返ると、軽くウインクしてきたりして。・・・やられた、完敗だ。
「落書きするなよ」
渋々渡すと、それこそとびきりの笑顔で去っていきやがる・・・。悔しい。覚えてろよ!