11/30 (水) 16:30 スタイリストの仕事

今日もテレビでは、コメンテーターが沢渡さんのファッションについて触れていた。

「スーツでこれだけのバリエーションを披露なさるとは、スタイリストはかなりの努力をされているみたいですね」

「でも折角なら、スーツばかりでなく他のファッションも拝見したいですよね」

「どれもお似合いですから、拝見していて楽しいですよね」

褒めていただくのは嬉しいが、それはプレッシャーにもなる。そして時には、随分と勝手なことを言う人もいる。

「外見ばかりに目がいかないといいんですけどね」

ああ、来週分のスタイリングはどうしようか?そして来月はいろいろな行事もあるし、年が明ければ議会が始まるし。とりあえず、毎日撮らせていただいている写真を眺めながら、同じタイプのものは避けるようにして、新しいバリエーションを考える。

実は、沢渡さんのためのデザイン画や実際の洋服がたくさん宮殿に届くのだが、3パターンくらいをお持ちしてその日の気分で選んでいただくと、違うデザイナーの洋服を混ぜても、沢渡さんは必ずKZのものをお選びになる。とはいえ、産業の発展のためには独占状態は良くないのではと思い、相変わらず混ぜさせていただいているのだが、

「今日はこれがいいですね。・・・当たりですか?」

と、半分面白がられている様子。

「はい、見事に。・・・本当にデザインで選ばれているのですか?」

「選んでいますよ。今日はこういう気分なんです」

そして楽しそうに、ハンガーを片手に着替えに行かれる。ふと加藤さんのほうを伺うと、肩をすくませて苦笑されていたが・・・。

そして私が全体のバランスを最終確認させていただいたのだけど、・・・

「少しお痩せになりましたか?」

何だか、予想したイメージとは少し違ってしまっていた。ウェストを拝見させていただくと、案の定。

「申し訳ありません。これから議会で更に忙しくなりますのに、配慮が足りず、申し訳ありません」

代わりに加藤さんが平謝りをされる。

「でも、僕はちゃんと食べてるよ。それは加藤も知っているよね」

「きちんと食事をされているのにお痩せになったら、余計に問題ではありませんか。今日の夜、ドクターに診ていただきましょう」

「そこまでしなくていいって。ただ、それ以上にお腹が空いているだけのことだから」

「ならば、そう仰ってください!」

こうして拝見していると、沢渡さんもまだ普通の高校生でいらっしゃるのだと感じる。

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