6/1 (水) 23:30 心配の行方

そして沢渡くんは手術のために渡航した。

昨夜一緒に過ごしてみたらよく分かった、目が見えないことは大したことではないと。それは、武術ができない僕を側近たちが守ってくれるのと同じことだ。沢渡くんの側近たちは、沢渡くんの目になる。もちろん手術がうまくいってくれることを祈っているが、目が見えても見えなくても関係ない、僕は他の誰でもない沢渡くんを必要としている。 Continue reading “6/1 (水) 23:30 心配の行方”

May

5.01(日) 15:00 私に出来ること

5.02(月) 18:00 新作に向けて
5.03(火) 17:00 プチ演奏会
5.04(水) 16:30 非難の目
5.05(木) 21:30 訓練
5.06(金) 22:00 生きることと死ぬこと
5.07(土) 23:30 壊れかけのハート
5.08(日) 22:00 何故?

5.09(月) 23:00 僕たちが…
5.10(火) 17:00 相乗効果
5.11(水) 22:00
5.12(木) 15:30 校内の片隅で
5.13(金) 23:30 誕生会
5.14(土) 1:00
5.15(日) 22:00 対応

5.16(月) 23:00 ピアノプレイヤー
5.17(火) 12:30 僕の選択
5.18(水) 23:00 晩餐会
5.19(木) 22:30 経過
5.20(金) 23:00 現実
5.21(土) 16:30 心配事
5.22(日) 15:30 お見舞い

5.23(月) 22:00 初体験
5.24(火) 16:00 不安
5.25(水) 22:00 決心
5.26(木) 17:30 役得!?
5.27(金) 16:00 稽古場よりその1
5.28(土) 15:00 接点
5.29(日) 2:30 彼女との距離

5.30(月) 22:00 思わぬ一言
5.31(火) 23:30 執務室での戯言から

5/31 (火) 23:30 執務室での戯言から

「確かに、まるで腫れ物にでも触るかのような接し方だよな」

その言い方が妙にわざとらしかった。そうか、沢渡くんを介してそれを指摘したのか。

「だって最近、俺の言うことを全然聞き入れないし」

「駄目なんだよ。沢渡くん相手となると、どうも感情が入り込んできてしまって」

「気持ちは分かるけど、折角沢渡が大人になろうと頑張っているのに水を差すようなことをするなって。大体、お前がいくら心配したって何も変わらないし」

・・・もう、そういうこと言わないでよ。ただでさえもどかしい思いをしているのに。 Continue reading “5/31 (火) 23:30 執務室での戯言から”

5/30 (月) 22:00 思わぬ一言

沢渡くんを担当してくれるいいお医者さんが見つかり、彼には渡航してもらうことになった。明後日には出発して検査と手術。帰国までには、術後の経過にもよるらしいが1~2週間はかかるらしい。何しろ不可解な症例なので100%成功するとは言えないが、何もしないよりはましだと思った。 Continue reading “5/30 (月) 22:00 思わぬ一言”

5/29 (日) 2:30 彼女との距離

電話で話すことで、彼女との距離が縮まった気がする。最初は遠慮していた彼女も徐々に自分から話してくれるようになったので、多くのことを知った。彼女は控えめと言うよりも、これまではすべてのことに対して諦めの気持ちで日々を過ごしていたようだ・・・その気持ち分かる。まるで遠い日の自分を見ているかのようで、他人事とは思えない。 Continue reading “5/29 (日) 2:30 彼女との距離”

5/28 (土) 15:00 接点

少しでも僕の負担を減らしてくれようとして、今日の部活は僕との絡みがある部員だけが部長のお宅に集まることになった。だから今日はカムフラージュの包帯はせず、サングラスだけを持って行くことにした。

「これで本当に目が見えていないなんて、信じられないな」

兼古先輩はどうやら僕の目をしげしげと眺めている様子。 Continue reading “5/28 (土) 15:00 接点”

5/26 (木) 17:30 役得!?

意外にも結城からは簡単に了承が得られ、とりあえず部活には参加できることになった。その際、理事長に話があるということで結城は一緒についてきたのだけど、部室にまで送りたがって困った。よって、

「いいから。結城が来ると目立ってしょうがないでしょ」

とか何とか言いくるめ、朝霧に連れて行ってもらうことにした。僕は朝霧の右肩に手を置き、歩き始める。 Continue reading “5/26 (木) 17:30 役得!?”

5/25 (水) 22:00 決心

落ち着いているつもりだったけど、それは上辺だけだったのかな?日が経つにつれて社会復帰できないことに焦りを感じるようになっていたのは事実だし・・・何もしないのがいけないのだ、と思って、部活のためだけでも学校に行かせてくれるようにと結城に頼んでみた。そしてピアノの練習と体力づくりにも精を出している。

「みんなにメールの返事を出さないのかい?」

ピアノの練習に付き合うために部屋に来てくれた朝霧は、学校の様子も教えてくれるのだけど、知らないままでいたいという気がしないでもない。 Continue reading “5/25 (水) 22:00 決心”

5/24 (火) 16:00 不安

試験はまずまずかな?それよりも、別室ながら久々に行った学校が、まるで知らない場所のように思えて怖くなった。

ずっと休んでいることに対して、部活のメンバーやクラスメートからメールをもらっている・・・加藤に読んでもらったのだ、でもどう返事をしたらいいのかよく分からないので、そのままにしている。今までの僕だったら、しばらく旅行に、とか言えたのかもしれないけれど、試験まで休むわけないし、もうこれ以上嘘はつきたくなくなっている。 Continue reading “5/24 (火) 16:00 不安”