5/31 (日) 16:30 Game

昨夜、沢渡の部屋の人員をコンピューターに確かめると、やはり有紗さんがいた。一方、響の居場所を確かめると、宮殿外・・・舞さんに会いに行ったのだろう。週末の夜は恋人たちのもの・・・か。

日曜日は基本的には王宮の仕事は休みなのだが、中川長官以下数名の秘書には沢渡の指導をお願いしているので、時々は顔を出さなければならない。そこで少しお邪魔して見学していると、沢渡はしっかりと長官を質問&意見攻めにしていた。・・・あまりやりすぎるなよ。末恐ろしい。

そして用事を片付けに街へ出ようかと駐車場に向かったら、・・・有紗さんと鉢合わせた。たまたま辺りには人気がない。この機会を逃さず意見すべきだと思い俺が立ち止まると、彼女も足を止めた。

「心配には及びません。どなたにも迷惑はおかけしませんから」

俺も、彼女がスマートな人間であることを知っている。しかし言わずにはいられない。

「ここまで来て身を危うくするのはもったいないことです。賢明なご判断を」

そして俺は車へ向かおうとしたが、彼女がヒール音を立てて振り向いた。

「あら、私の身が危うくなることなどありませんわ。何せ私は陛下の娘ですから」

「それが凶と出ないことをお祈りしています」

「何を・・・」

俺はその続きを聞かないうちにその場を去り、車に乗り込んだ。そしてドアを閉め再び静寂を手に入れると、思わずためいきが漏れた。

このゲームがどんな結末を迎えるのか、俺には読めない。沢渡はまだ子どもだ。器用に事態を収拾できるとはとても思えない。しかしだからと言って、俺に二人の間を裂くことなどできるだろうか?王宮は仕事面で有能であれば、大方のことは目をつぶってくれる。しかし沢渡は若い。若さゆえ、身を滅ぼすほど恋に溺れることもないとは限らない。俺とて、沢渡が恋をするなど初めての経験だ。黙って目をつむるべきかそれとも・・・。

外の風に当たりながら考えることにする。

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