何なんだ、今になって。最初にバレた時に怒られたけれど、その後話し合ったときには認めてもらえたから、もう大丈夫だと思っていた。・・・週に一度しか会わないというのに、何がそんなにいけないのか。彼女のおかげで、気持ちが落ち着くようになってきたというのに・・・。
とは言え、結城からそんなことを言われてしまうと、相談する相手が他にいない。・・・殿下以外には。でも殿下はお忙しい方だ。僕などのささやかな悩みのために時間を割いていただくのは、申し訳ない。でも殿下には素敵な恋人がいらっしゃるので、恋愛の相談相手には最適だと思う。ここは、メールだけでもお送りしてみようか。
そしたら、折り返し電話をいただいてしまった。
「お手数をおかけして申し訳ありません」
“それはいいんだよ。少し離れている間にそんなことになっているなんて、驚いた”
殿下は先週末、外国に出張に行かれていた。外交を担当されているだけに、出張の機会も多い。
“残念ながら今はゆっくり話せないのだけど、明後日の夜はどうかな?僕も君に話したいことがあるので、食事に誘いたいのだけど”
え?殿下が僕を食事に?
「よろしいのですか?」
“沢渡くんさえ都合がよければ、お願いしたい。・・・君の保護者は時々わからずやになるから、外に出ようね”
宮殿ではなく外で・・・。これは大事になってしまった。恐縮してしまう。
「それではお言葉に甘えて、ご一緒させてください」
“よかった。それじゃ、仕事が片付いたら迎えに行くけど、詳しい時間はまた当日連絡するよ。それから、もしいらしたら、ご両親にも挨拶をさせていただいていいかな?”
「申し訳ないほどです。母が喜びます」
“それじゃあ、楽しみにしているからね。おやすみ”
・・・これは母に話したら、大変なことになりそうだ。