今日はイライラすることが多い日だ。
まずは使えない部下。何をするにも手際が悪すぎる。頑張っているのは分かるけど、そろそろ限界だ。
「残念だけど、君はこの部署には向いていないな」
言った途端に彼に電流が走り抜けたのが分かった。俺だって言いたくはないけど、もう3度目だし、誰かが言わなければならない。
「今後も王宮でやっていくつもりか?」
「できればそうさせていただきたいと思います。何でもする覚悟は出来ています」
「君はまだ若いし、一般企業でならそれなりに働けるだろう」
「ですが、私は王宮で・・・結城さんの元で働くのが夢だったのです。もう一度だけチャンスをいただけませんか?」
嬉しいことを言ってくれる・・・そうだな、降格してまた這い上がってきてもらおうか。でもそれでは王宮のためにも彼のためにもよくないと思う。一般企業に出向してもらって、企業の良さを知ってもらうことにしようか。
続いてパソコンがトラブった。
データ自体はクラウドに置いてあるので、仕事的なダメージは少ないが、メインマシンだけに、精神的なダメージが大きい。
渋滞につかまって会議に遅刻した。
そんなにすぐ近くで事故が起こるなんてことは予測できない・・・やむなく遅刻。
こんな日もある・・・。
仕方がないのでプールに行くことにした。時々はジムに行くのだが、俺の顔を見るなり警戒する人間がいるので、お互いがさほど気にならないプールが気に入っている。
今日は、こんな時間だからということもあるのか、誰もいない。思いっきり泳ぐ。
俺は大学までずっと運動部だったので、定期的に身体を動かさないと気分まで滅入ってくる。おまけに水に身を任せていると、すべての人為的なしがらみから解き放たれているような気がして気持ちがいい。・・・沢渡は髪を乾かすのが面倒だとか言ってプールが好きではないというが、もったいない話だ。こんなに気持ちいいのに。
・・・本当はこんな夜には沢渡のピアノに慰められたいところだが、しょうがない。これでも随分気分はよくなったかな?・・・ついてない日もある。でも明日はその分いい日になりそうな気がする。